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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
長文OK・お暇な方のみお読み下さいませ。(・∀・)サワツ純子
※各ブログ記事へのインデックスを作ってみました。良ければご利用ください※
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興味のある方はどうぞお越しくださいませ。
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今回はカードナンバー【18】、月のカードです。
*-*-*-*-*-*-*
【18・月(The Moon)】
◆おおまかな意味:
不安、妄想、疑心暗鬼、予感、秘密、不透明な状況、狂気、第六感 ほか
*-*-*-*-*-*-*
中央上部に描かれている月は太陽と重なっています。描かれた顔の表情は暗く憂鬱げです。
その下には左右に塔があります。この塔からなる門のような配置は【13・死神】のカードで見られたのと同じもののようです。【13・死神】の世界の続きにこのカードの世界は存在しているのでしょうか。手前にある水は波立っています。その波紋はザリガニのような生き物が起こしているように見えます。水辺の甲殻類は“月”を象徴しているとも言われますし、また無意識のうごめきをも思い起こさせます。水は情動の象徴でもありますから、その情動から湧き上がってくる無意識の何か…恐らくそれは根源的ではあるものの洗練されてはいない…そういうものを思い浮かべます。
ちょうどザリガニが陸地に這い上がって来ようとしている辺りから、黄色い道が遥か向こうへと連なっています。道の両脇は草が生い茂っており、この道が生産的で豊かなものに続いていることを象徴しているようです。しかし、その左右には2匹の動物が待ち受けています。左にいる茶色の尻尾の細いのは犬でしょうか。右にいる金色の尻尾の太いのはオオカミでしょうか。犬は冥府の門番とも言われますし、ひょっとしたらこの道は誰でもがおいそれと通り抜けられるものではないのかも知れません。
このカードの月が太陽と重なっているのはあらゆる意味において象徴的です。ここでは月は単体で存在しているのではなく、太陽に対する月、『陽』に対する『陰』として描かれているようです。月の下の塔も2つ、イヌ科の動物も2匹、中央の一本の道に隔てられて大地も左右に分断されているようでもあり、情動の水から陸地に這い上がろうと蠢くザリガニはこの二つのものの間を通り抜けていかねばならない運命なのでしょう。この月夜の暗い道を通りぬけた先には、太陽が輝く地平があり、澄み切った理性が人生の幾つもの山や谷を乗り越えさせてくれることでしょう。
*-*-*-*-*-*-*
実占では、不安が募る、疑心暗鬼になる、あれこれと妄想して苦しむ、事実がはっきりしない、などと読んでいます。逆位置の場合は不安が晴れる、事実関係がハッキリする、理性を取り戻す、などと読んでいます。
普段、このカードで表わされる不安は神経的・心理的で根拠のないものであり、囚われるに値しないと読むことが多いのですが、周囲のカードによっては裏切りなどの真実を直観するなど、サイキックな能力が働いていると見る場合もあります。
何も根拠がないのに『悪い予感がする』のは、その状況に関するなんとなくの空気を的確に読んでいる場合もあり、一概に取り越し苦労と言えない時もあるものです。「おかしいおかしいと思っていたらやっぱり浮気していた!」などという『女の勘』も、あながち捨てたものではないかも知れません。
このカードに共通するのは、ハッキリした論理的根拠や事実関係によって物事を判断していないという点です。不安を感じるにしろ妄想するにしろ、ちゃんと知りたいことが全て分かっていればあれこれと思い悩んだり、疑ったりする必要はありません。『本当はどうなのか?』がはっきりと分からない、確認することが出来ない、あるいは追及することがためらわれるからこそ、不確かで不十分な情報を頼りに妄想してしまうわけです。
*-*-*-*-*-*-*
「うまくいくだろうか」「結婚できないのではないだろうか」「どう思われているのだろうか」等々、典型的な不安の形がこのカードから見えてきます。占いにお越しになるお客様のほとんど全てがこのような不安から逃れるため・期待を確かめるために、何らかのお答えを求めていらっしゃいます。その状況のとおり、このカードが表わしているほとんどすべての状況には『占いやジンクスに左右されやすい』ということが当てはまります。
本来、何かを解決したいのであれば、現在不確かな事実関係をハッキリさせることが必要不可欠です。予測や希望や不安を元に状況を判断するなど、理性的に考えれば愚の骨頂と言えます。
しかし、そうせざるを得ない状況が質問者の中にはあるものです。
人はいつでも確かなことが知りたいのですが『未来がどうなるか』や『他人の心や頭の中』を覗くことは不可能です。不可能なのですから、不確かな情報を元に判断するしかありません。
そもそも不確かな情報しかないのであれば判断すること自体が本来不毛なのですが、当人とすればそうも言っていられません。例えば就職・転職の合否や、その会社に入ってからうまくやっていけるかどうかなどは、どのようにしても分かりようがありません。チャレンジ出来る会社の数が限られているならば、不確かな情報を元にでも判断するしかありません。
人間関係や恋愛問題などは心の不確かさが焦点となります。ある人に対する「疑い」「不信」の感情は、一度でも抱いてしまうとそれを払拭するのはとても難しいものです。ハッキリと言葉で問い、ハッキリと言葉で答えを得ても、それが不信を抱いている相手から発せられたものとなると、どうしても心の底から信じられません。
それで、当の相手からではなく占いやジンクスに答えを求めることになりがちなのです。
しかし一概にそれを愚かと言えないのは、『不確かな情報を元に、論理的に判断した結果』よりは、何か偶然性や神秘的なもの・あるいは直観のようなものに答を委ねたほうが本質を突くケースがあるということです。このカードの中央に描かれている行動の主体と思われる生き物が、原始的な『ザリガニ』であることは、情動の元の・意識の奥の蠢きがたとえ洗練されたものとは程遠くとも、確かに何か正しい道を探り当てようとしている様子を表わしているとも思えます。
*-*-*-*-*-*-*
さて、吊られた男の物語の続きを少し。
宇宙の塵に還り【17・星】の間を漂っていた男の魂は、転生のために冥府に戻ってきました。彼にはもう前世の記憶も、自我すらもなくなっています。彼は冥府の薄暗い神秘的な闇の中をただ進んでいます。彼は古代の生き物のように、何も知らず・悟らず、気づけば光のある方を目指して進んでいるようです。
時に彼は、温度の変化や空気の振動で何かを察知したりします。危険にさらされているような気がすればじっと身じろぎもせず留まり、大丈夫と思うと動き出します。どこに行くのか・行くべきなのかすら彼は知りませんが、身体は勝手に動いています。そうして彼は進んで行きます。
危険を避け、生き残れ、留まるのではなく、前に進めと、彼の身体・本能は命じているかのようです。
*-*-*-*-*-*-*
月は夜の闇を照らしてくれますが、その光は太陽の明るさには遠く及ばずほんのわずか、どうやら周囲の輪郭が認識できる程度です。色やモノの生々しい材質までは感じられません。月の光の下では細かい作業は出来ないし、安全に素早く動くことも困難です。ですから生物は闇を本能的に怖がります。
闇の中では自由が利きません。一部の捕食者は夜行性を身につけ、闇の不自由を利用して獲物を捕らえます。生き物にとって暗闇は危険と不自由の代名詞です。暗いというただそれだけで潜在的な危険を予期し、不安を感じ、本能的に安全を確保しようとします。
また月夜の薄暗闇は完全に真っ暗な闇夜よりもなお一層、心理的な不安や恐怖を呼び起こすものです。真っ暗闇であれば何もすることが出来ませんから、敵すらもじっとしているしかありません。しかし薄暗闇では敵もある程度自由を獲得します。その潜在的な危険の可能性が、生き物に恐れと不安を呼び起こし、妄想や幻想を膨らませます。
この“潜在的可能性”…『いまはない、しかしいつでもあり得る、でも結局ないかも知れない』…と、いうやつが心を狂わせるのです。イエスなのかノーなのか。答えは2つに1つ。でも単純にそういいきれるのか?確率は10%、50%、80%…?心と頭は忙しく計算します。でもそんな計算何の足しにもなりません。結果はいつもイエスかノーか、0か100かで表れます。生き残れたか・途中で死んだか、願いが叶ったか・叶わなかったか。人は物心ついてから煩悩の尽きるまで、可能性と結果の間で揺れ動きます。
月の薄暗闇は、0でもなく100でもない・潜在的可能性の象徴とも言える気がします。
『あり得る…しかし無いかも知れない』という『可能性』に揺れる心の働きがなければ、そこにはただ現象という結果があるのみです。敵に捕まって食われた・助かって生き延びた、それは単なる結果であり現象です。しかし心の働きはその『1から99の間』にドラマを作ります。
危険の予感と不安に震える心→敵に遭遇した驚き→こわばった全身の感覚と恐怖→逃亡に無我夢中ながら忙しく働く直観→逃げ延びた時の安堵とよろこび…これらはみな心と内面の働きです。心がなければこの一連の出来事は単に『敵から逃れた』という結果があるのみです。しかし心があれば感じる現実の内容は全く違って来ます。不安を感じ逃げ延びるまでの『1から99の間』こそが心にとっての現実なのです。『0か100』という結果に行き着いた途端、心はまた新たな可能性…『1から99』に向かってさ迷い出します。それこそが心の特性です。
*-*-*-*-*-*-*
しあわせで満足であればそれが失われるのを恐れ、不満足で不幸であれば期待を抱くのが心です。西洋占星術では月は人の情動や心、感受性を表わします。心は希望や期待・不安や恐れを映し出す鏡であり、可能性の幻想を思い描くカンバスでもあるのです。
月の薄暗闇が心に描かせてくれるのは何も不安や恐怖ばかりではありません。暗いからこそ生々しくない、幻想的な美やロマン、秘密めいた興奮や幻想も月はもたらしてくれます。あり得るようなあり得ないような夢の絵巻、詩的なイメージ…これらも心の素敵な働きです。
しかしこのカードでは、薄暗い中で思い描くそのようなイメージが、たとえ素敵な良いものであれ、神経的な悪いものであれ、幾らか危険なものであることを示唆しています。心が好き勝手に描くものはいずれにせよ不確かなことであり、明確な事実や頼りになる真実ではないのです。
危険と不自由にさらされた無力な自我は、手探りと本能で光を目指して進むしかありません。朦朧とした精神に留まって夢や妄想にどっぷり浸かるのは自由ですが、それは即ち危険と不自由の中に置いてきぼりになることです。
人は時に、不確かなものごとや、不自由な境遇に置かれるものですが、そんな時こそ明確な事実と明晰な理性によって進まなければならない…そうすれば太陽の光が輝く豊かな人生の舞台へと舞い戻れるに違いありません。
*-*-*-*-*-*-*
このカードは
を表していると思います。
コメントはBBSへどうぞ
*-*-*-*-*-*-*
文脈に収め切れなかったことのメモ。
・月は太陽の光を反射して見える…月は地球に一番近い星…自分に近い他者…自己を投影して世界を把握する
・犬はオオカミとジャッカルのあいのこ。…兄弟や双子、親子の類似性…左(過去・潜在意識的)は犬、右(未来・顕在意識的)はオオカミ。オオカミと道、月&太陽は金色。未来志向と顕在意識を推奨している
・暗闇の中に留まることを諌めている…茫洋とした精神に留まることの警告…【15・悪魔】との類似性…門の間にヨッドの文字が15個-15は【15・悪魔】のナンバー
・月は母性を象徴する。母性が持っている暗く濃厚でカオス的な愛情や執着心…母=生まれる前にいたところ=冥府…【18・月】は母胎の中を表わす?自我は胎児のレベル?
*-*-*-*-*-*-*
【18・月(The Moon)】
◆おおまかな意味:
不安、妄想、疑心暗鬼、予感、秘密、不透明な状況、狂気、第六感 ほか
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中央上部に描かれている月は太陽と重なっています。描かれた顔の表情は暗く憂鬱げです。
その下には左右に塔があります。この塔からなる門のような配置は【13・死神】のカードで見られたのと同じもののようです。【13・死神】の世界の続きにこのカードの世界は存在しているのでしょうか。手前にある水は波立っています。その波紋はザリガニのような生き物が起こしているように見えます。水辺の甲殻類は“月”を象徴しているとも言われますし、また無意識のうごめきをも思い起こさせます。水は情動の象徴でもありますから、その情動から湧き上がってくる無意識の何か…恐らくそれは根源的ではあるものの洗練されてはいない…そういうものを思い浮かべます。
ちょうどザリガニが陸地に這い上がって来ようとしている辺りから、黄色い道が遥か向こうへと連なっています。道の両脇は草が生い茂っており、この道が生産的で豊かなものに続いていることを象徴しているようです。しかし、その左右には2匹の動物が待ち受けています。左にいる茶色の尻尾の細いのは犬でしょうか。右にいる金色の尻尾の太いのはオオカミでしょうか。犬は冥府の門番とも言われますし、ひょっとしたらこの道は誰でもがおいそれと通り抜けられるものではないのかも知れません。
このカードの月が太陽と重なっているのはあらゆる意味において象徴的です。ここでは月は単体で存在しているのではなく、太陽に対する月、『陽』に対する『陰』として描かれているようです。月の下の塔も2つ、イヌ科の動物も2匹、中央の一本の道に隔てられて大地も左右に分断されているようでもあり、情動の水から陸地に這い上がろうと蠢くザリガニはこの二つのものの間を通り抜けていかねばならない運命なのでしょう。この月夜の暗い道を通りぬけた先には、太陽が輝く地平があり、澄み切った理性が人生の幾つもの山や谷を乗り越えさせてくれることでしょう。
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実占では、不安が募る、疑心暗鬼になる、あれこれと妄想して苦しむ、事実がはっきりしない、などと読んでいます。逆位置の場合は不安が晴れる、事実関係がハッキリする、理性を取り戻す、などと読んでいます。
普段、このカードで表わされる不安は神経的・心理的で根拠のないものであり、囚われるに値しないと読むことが多いのですが、周囲のカードによっては裏切りなどの真実を直観するなど、サイキックな能力が働いていると見る場合もあります。
何も根拠がないのに『悪い予感がする』のは、その状況に関するなんとなくの空気を的確に読んでいる場合もあり、一概に取り越し苦労と言えない時もあるものです。「おかしいおかしいと思っていたらやっぱり浮気していた!」などという『女の勘』も、あながち捨てたものではないかも知れません。
このカードに共通するのは、ハッキリした論理的根拠や事実関係によって物事を判断していないという点です。不安を感じるにしろ妄想するにしろ、ちゃんと知りたいことが全て分かっていればあれこれと思い悩んだり、疑ったりする必要はありません。『本当はどうなのか?』がはっきりと分からない、確認することが出来ない、あるいは追及することがためらわれるからこそ、不確かで不十分な情報を頼りに妄想してしまうわけです。
*-*-*-*-*-*-*
「うまくいくだろうか」「結婚できないのではないだろうか」「どう思われているのだろうか」等々、典型的な不安の形がこのカードから見えてきます。占いにお越しになるお客様のほとんど全てがこのような不安から逃れるため・期待を確かめるために、何らかのお答えを求めていらっしゃいます。その状況のとおり、このカードが表わしているほとんどすべての状況には『占いやジンクスに左右されやすい』ということが当てはまります。
本来、何かを解決したいのであれば、現在不確かな事実関係をハッキリさせることが必要不可欠です。予測や希望や不安を元に状況を判断するなど、理性的に考えれば愚の骨頂と言えます。
しかし、そうせざるを得ない状況が質問者の中にはあるものです。
人はいつでも確かなことが知りたいのですが『未来がどうなるか』や『他人の心や頭の中』を覗くことは不可能です。不可能なのですから、不確かな情報を元に判断するしかありません。
そもそも不確かな情報しかないのであれば判断すること自体が本来不毛なのですが、当人とすればそうも言っていられません。例えば就職・転職の合否や、その会社に入ってからうまくやっていけるかどうかなどは、どのようにしても分かりようがありません。チャレンジ出来る会社の数が限られているならば、不確かな情報を元にでも判断するしかありません。
人間関係や恋愛問題などは心の不確かさが焦点となります。ある人に対する「疑い」「不信」の感情は、一度でも抱いてしまうとそれを払拭するのはとても難しいものです。ハッキリと言葉で問い、ハッキリと言葉で答えを得ても、それが不信を抱いている相手から発せられたものとなると、どうしても心の底から信じられません。
それで、当の相手からではなく占いやジンクスに答えを求めることになりがちなのです。
しかし一概にそれを愚かと言えないのは、『不確かな情報を元に、論理的に判断した結果』よりは、何か偶然性や神秘的なもの・あるいは直観のようなものに答を委ねたほうが本質を突くケースがあるということです。このカードの中央に描かれている行動の主体と思われる生き物が、原始的な『ザリガニ』であることは、情動の元の・意識の奥の蠢きがたとえ洗練されたものとは程遠くとも、確かに何か正しい道を探り当てようとしている様子を表わしているとも思えます。
*-*-*-*-*-*-*
さて、吊られた男の物語の続きを少し。
宇宙の塵に還り【17・星】の間を漂っていた男の魂は、転生のために冥府に戻ってきました。彼にはもう前世の記憶も、自我すらもなくなっています。彼は冥府の薄暗い神秘的な闇の中をただ進んでいます。彼は古代の生き物のように、何も知らず・悟らず、気づけば光のある方を目指して進んでいるようです。
時に彼は、温度の変化や空気の振動で何かを察知したりします。危険にさらされているような気がすればじっと身じろぎもせず留まり、大丈夫と思うと動き出します。どこに行くのか・行くべきなのかすら彼は知りませんが、身体は勝手に動いています。そうして彼は進んで行きます。
危険を避け、生き残れ、留まるのではなく、前に進めと、彼の身体・本能は命じているかのようです。
*-*-*-*-*-*-*
月は夜の闇を照らしてくれますが、その光は太陽の明るさには遠く及ばずほんのわずか、どうやら周囲の輪郭が認識できる程度です。色やモノの生々しい材質までは感じられません。月の光の下では細かい作業は出来ないし、安全に素早く動くことも困難です。ですから生物は闇を本能的に怖がります。
闇の中では自由が利きません。一部の捕食者は夜行性を身につけ、闇の不自由を利用して獲物を捕らえます。生き物にとって暗闇は危険と不自由の代名詞です。暗いというただそれだけで潜在的な危険を予期し、不安を感じ、本能的に安全を確保しようとします。
また月夜の薄暗闇は完全に真っ暗な闇夜よりもなお一層、心理的な不安や恐怖を呼び起こすものです。真っ暗闇であれば何もすることが出来ませんから、敵すらもじっとしているしかありません。しかし薄暗闇では敵もある程度自由を獲得します。その潜在的な危険の可能性が、生き物に恐れと不安を呼び起こし、妄想や幻想を膨らませます。
この“潜在的可能性”…『いまはない、しかしいつでもあり得る、でも結局ないかも知れない』…と、いうやつが心を狂わせるのです。イエスなのかノーなのか。答えは2つに1つ。でも単純にそういいきれるのか?確率は10%、50%、80%…?心と頭は忙しく計算します。でもそんな計算何の足しにもなりません。結果はいつもイエスかノーか、0か100かで表れます。生き残れたか・途中で死んだか、願いが叶ったか・叶わなかったか。人は物心ついてから煩悩の尽きるまで、可能性と結果の間で揺れ動きます。
月の薄暗闇は、0でもなく100でもない・潜在的可能性の象徴とも言える気がします。
『あり得る…しかし無いかも知れない』という『可能性』に揺れる心の働きがなければ、そこにはただ現象という結果があるのみです。敵に捕まって食われた・助かって生き延びた、それは単なる結果であり現象です。しかし心の働きはその『1から99の間』にドラマを作ります。
危険の予感と不安に震える心→敵に遭遇した驚き→こわばった全身の感覚と恐怖→逃亡に無我夢中ながら忙しく働く直観→逃げ延びた時の安堵とよろこび…これらはみな心と内面の働きです。心がなければこの一連の出来事は単に『敵から逃れた』という結果があるのみです。しかし心があれば感じる現実の内容は全く違って来ます。不安を感じ逃げ延びるまでの『1から99の間』こそが心にとっての現実なのです。『0か100』という結果に行き着いた途端、心はまた新たな可能性…『1から99』に向かってさ迷い出します。それこそが心の特性です。
*-*-*-*-*-*-*
しあわせで満足であればそれが失われるのを恐れ、不満足で不幸であれば期待を抱くのが心です。西洋占星術では月は人の情動や心、感受性を表わします。心は希望や期待・不安や恐れを映し出す鏡であり、可能性の幻想を思い描くカンバスでもあるのです。
月の薄暗闇が心に描かせてくれるのは何も不安や恐怖ばかりではありません。暗いからこそ生々しくない、幻想的な美やロマン、秘密めいた興奮や幻想も月はもたらしてくれます。あり得るようなあり得ないような夢の絵巻、詩的なイメージ…これらも心の素敵な働きです。
しかしこのカードでは、薄暗い中で思い描くそのようなイメージが、たとえ素敵な良いものであれ、神経的な悪いものであれ、幾らか危険なものであることを示唆しています。心が好き勝手に描くものはいずれにせよ不確かなことであり、明確な事実や頼りになる真実ではないのです。
危険と不自由にさらされた無力な自我は、手探りと本能で光を目指して進むしかありません。朦朧とした精神に留まって夢や妄想にどっぷり浸かるのは自由ですが、それは即ち危険と不自由の中に置いてきぼりになることです。
人は時に、不確かなものごとや、不自由な境遇に置かれるものですが、そんな時こそ明確な事実と明晰な理性によって進まなければならない…そうすれば太陽の光が輝く豊かな人生の舞台へと舞い戻れるに違いありません。
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このカードは
月夜の薄暗闇に心が描く不安なイメージ、真実にたどり着こうと蠢く本能と直観
を表していると思います。
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文脈に収め切れなかったことのメモ。
・月は太陽の光を反射して見える…月は地球に一番近い星…自分に近い他者…自己を投影して世界を把握する
・犬はオオカミとジャッカルのあいのこ。…兄弟や双子、親子の類似性…左(過去・潜在意識的)は犬、右(未来・顕在意識的)はオオカミ。オオカミと道、月&太陽は金色。未来志向と顕在意識を推奨している
・暗闇の中に留まることを諌めている…茫洋とした精神に留まることの警告…【15・悪魔】との類似性…門の間にヨッドの文字が15個-15は【15・悪魔】のナンバー
・月は母性を象徴する。母性が持っている暗く濃厚でカオス的な愛情や執着心…母=生まれる前にいたところ=冥府…【18・月】は母胎の中を表わす?自我は胎児のレベル?
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