60_色の考察【黄色】３／地面の黄色(2)

　色の考察【黄色】３回目の今回は、地面の一部分に黄色が使われているものをとりあげてみます。
　前２回に当てはまらなかったもの、黄色い地面ではないけれど一部に黄色が混じっているように見えるもの、少しでも黄色の影響が感じられるものをすべて拾ってみました。

　※黄色は太陽の光・知恵の光、生きることを応援する恵みの力の影響が表れていると考えてカードを見ていきます。

　カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットと、Merrimack Publishing Corp. から出版されたウエイト版タロットです。

　分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。

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3. 地面に一部混在する黄色
• 豊かな緑の中に黄色みがあるもの
…豊かな植物の緑は生命力に溢れた創造的な状況を示唆する。生命の樹では、緑色は第７のセフィラ「ネツァク（勝利）」の色。ネツァクは慈悲の柱・下方に位置する。宝石はエメラルド、惑星は金星。逞しく豊かに生命を謳歌しようとすることはすなわち「勝利をめざす」ことと言えるかも知れない。
★豊かな生命力溢れる創造的な状況のもと、太陽の光も援助を投げかけていると考えられる。
【8･力】

【棒１】

【棒７】

【棒８】

　この４枚の地面のパターンはとてもよく似ている。【棒７】だけは他の３枚より緑色と黄色部分がはっきり分かれている印象。
　この４枚はいずれも火のエレメントに分類される。
　【棒１】と【棒８】は棒のスートの勢いの良さ・力の本質を如実に表わし、【8･力】【棒７】はどちらもプレッシャーに対して負けないでいる状況を表わしている。意味に共通点が見られるのが面白い。


• 土の地面に黄色が混在していると思えるもの
…上記分類のものより植物の緑要素が少なく、土の地面ぽいもの。
【棒３】

　カード左下方・人物の背面側にやや多く植物の緑がある。ライダー版では地面部分はオレンジ色ぽい。オレンジ色は第８のセフィラ「ホド（栄光）」の色、ホドは峻厳の柱下部にあり、惑星は水星。
　Merrimackでは濃い茶色や黒が使われ、黄色はほんの一部分に使われているだけ。黒色は第３のセフィラ「ビナー（理解）」の色。ビナーは峻厳の柱上部にあり、惑星は土星。中央人物の右手（＝意志的）が掴んでいる棒の根元部分にわずかな黄色部分がある。
　棒の１本目は人物の背後にあり、Merrimackではその根元は黒だがたくさんの緑もある。２本目はその少し右前あたり、根元は黒と茶色い土で湿った（＝水気を含んだ）土のようにも見える。３本目が人物の握っている棒で、その根元に太陽の光がわずかだが援助を与えていると解釈できそう。
【棒５】

　ライダー版ではまばらに植物が生えている土の地面のように見える。使われている緑は明るく黄色の影響が強い。太陽の光の応援がたくさん降り注いでいる印象。競合・切磋琢磨・勢力争い、スポーツなどを連想させる。争うことは必ずしも悪いことではなく、向上しより強くなるために奨励されているようだ。
　Merrimackでは緑はほとんどなく、湿った土のような黒っぽい茶色に薄い黄色が混じっているイメージ。黒っぽい茶色を生命の樹第10のセフィラ「マルクト」の影響下にあるとすれば、この争いは精神的なものでなく、物質的利益を巡っての争いと考えられるだろうか。太陽の援助も濁りが感じられる。
【剣８】

　今回初めてとり上げる火以外のエレメント。
　ライダー版ではオレンジ色の土っぽい地面に水溜りがあり、あちこちのわずかな部分に緑色や黄色みがある。このようないたたまれない状況にあっても太陽は「元気に生きて行け」と言ってくれるのだと感じられる。
　Merrimackではほとんど黒の地面。やはりところどころに明るい黄色とわずかな緑色がある。黒部分と黄色部分は比較的はっきり分かれている。

　この３枚では、Merrimackの色味の暗さが目立つ。


• 一部色分けされているもの
…地形その他で色分けされているパターンの中に黄色が見られるもの。
【金貨１】

　緑豊かな庭園の奥、出入り口のアーチに至る道が黄色で彩色されている。遠くには山々が見える。これとよく似たパターンが他にも見られる。
【18･月】

　やはり門があり、そこを通る道が黄色…どちらかというと金色…に彩色されている。【金貨１】に見られる着色よりまぶしさがある。水辺の小石なども黄色い。水辺の小石は何を意味しているのか…？ザリガニのような水辺の節足動物が陸に上がるために小石は格好の足がかりかも知れない。とすれば水辺の小石は『より上へ至る道』の役割を果たすのだろうか？水辺の小石＝黄色い道と考えられるかも知れない。水辺の小石の中にはオレンジ色に彩色されているのもあるのが面白い。
　【18･月】では道が彼方の山の向こうまでずっと続いているが【金貨１】では庭園の中だけで終わっている。。
【14･節制】

　【14･節制】に描かれている道は黄色ではない。ライダー版では第８のセフィラ「ホド（栄光）」のオレンジ色。ホドの惑星は水星。Merrimackでは緑色に塗りつぶされているがこれはインクのにじみのような気がする。Merrimackのある種の緑色は全体的ににじんで他を侵食する傾向がある。Merrimackの【14･節制】の道は本来、黄色彩色だったのでは…？道の両脇に緑があり、往く手に山々があるパターンも【18･月】と一致している。
　ただし一点違うのは山の頂に光の王冠が浮かんでいるところ。ライダー版で道が黄色でなくオレンジなのは、【14･節制】と【18･月】では目指しているものが違うからなのだろうか？
　黄色の色味をみると【18･月】【金貨１】【14･節制】の順番にどんどんオレンジ色が強くなっている。【14･節制】は錬金術のカード、【金貨１】も経済的なことを表わしていて物質的な要素が色濃い。そのあたりのことが反映されているのかも知れない。

　【18･月】と言えば「冥府の門」を連想する四角い石の塔が思い出されるが、これは【13･死神】のカードにも見られる。
【13･死神】

　ここでは地面は緑色部分と黄色部分に分かれている。元々は黄色い地面が、死神が歩んで来るにつれどんどん緑色に変色しているようにも見える。太陽の光の援助とともに生命を謳歌している状況から、命のサイクルに還元される＝死の状況へ移行する瞬間を表わしているのかも知れない。
　ただ「死の状況への移行」も、生命全体の視点からみれば「豊かな創造の一過程」と言える。古い個体が死んで新しい個体の源とならなければ生命全体が腐り朽ち果ててしまう。死は豊かな生命を育む仕組みのメインシステムだからこそ、金星と対応する緑色が使われているのだと考えられる。
　Merrimackではカード右の地面がやや赤みが増している。死に際する緊張と興奮の反映と解釈できるのではないだろうか。

　もう一枚、Merrimack版にしか当てはまらないが『黄色い道』が描かれているカードがある。
【剣キング】

　このカードの地面は「豊かな緑の中に黄色みがあるもの」に分類できる。王の足元には豊かな緑がある。ライダー版では足元の緑の中に一部、まぶしい黄色の部分がある。
　同じ絵柄ながらMerrimackでは、王の足元に至る『黄色い道』がはっきりと描かれている。高い専門性を身につけたプロフェッショナルへ至る道が黄色いのは、彼のようになること自体が光の道だとも言えるし、彼の力を借りることで力強く生きる助けが得られるとも解釈できる。

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　【剣キング】に至った繋がりで、次回はコートカードに関して同様のテーマで見ていきたいと思います。
　また、どこにも分類しきれなかったものをいくつか最後にとり上げて『地面の黄色』については次回で一旦終わります。

　今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。