58_色の考察【黄色】１

　ブログ記事の訂正・修正情報：2010/04/10_[54_剣のコートカード]鳥の数の記述に関して修正しました。

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　こんにちは。
　２週間のインターバルを経て、再びウエイト版の話題に戻りたいと思います。

　これからしばらくは、わたしの大好きな『色』のことを考えてみたいと思います。ウエイト版でどのように色が使われているか、またもや重箱の隅をつつくようなチェックと考察をしてみたいと思います。恐らく長文になりますがお付き合いいただければ幸いです。

　ウエイト版で絵を描いているのは、かの有名な　パメラ・コールマン・スミス　さんです。ライダー・ウエイト版タロットを購入すると、使用するカードの他にU.S.GAMES SYSTEMS,INCのクレジットが書いてあるカードと、女性の顔写真の載ったものが入っています。この女性がパメラさんです。

　パメラさんの描く線や彩色はとても温かいのですが、それだけではなく、人間の生の自然なおかしみや喜怒哀楽が主観的にも客観的にも巧みに表現されています。パメラさんの色々な絵は、『O∴H∴西洋魔術博物館』という素晴らしいサイトの、『近代オカルト画廊』コーナーで見ることができます。ぜひ一度訪れてみてください。

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　さて、今回はまずウエイト版タロットにおける“黄色”の使われ方をチェックしてみたいと思います。

　黄色は、知恵の光、そして太陽の恵みの光…ウエイト版タロットで黄色が使われている部分には、この二つの力が働いていると考えられます。

　細部までようくタロットの彩色を見てみると、彩色されている部分や色味に幾らかのバリエーションがあることが分かります。目立つ部分から少しずつチェックして行こうと思います。

　分類やコメントはあくまでもわたしの個人的な主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。

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1. 背景の黄色
背景全体に黄色が使われており『黄色いカード』の印象があるもの

• 大アルカナ

　※これらはすべて“若い”カードばかりです。ここでの“黄色”は、太陽の守護、恵み＝前向きに生きることを応援されている表れだと解釈できそうです。太陽の光はカード全面に溢れており、生命の力が輝いているようです。危険や困難、驕りや失敗があったとしても、それは一生懸命生きようとしてのこと。太陽は子らへの応援・援助を惜しまないでしょう。


• 小アルカナ…色味の違いやムラはあるが、背景全体が黄色っぽいもの


　※各スートから１枚ずつと、金貨のコートカードすべて。棒、聖杯、金貨は良いとして、剣７の黄色はどうでしょう…少しオレンジが強いですね。ただしこの画像データではなく手元にあるカード本体ではこれほど色味の違いは強くありません。　あと悩ましいのが棒３です。
こちらははっきりと色味の違いが出ています。

　そして手元のカードでは【金貨クイーン】と【金貨ナイト】も若干オレンジの色味が強いようです。この違いに意味はあるのでしょうか？それともたまたまなのでしょうか。

　金貨コートカードの背景がすべて黄色なのは面白いと感じました。他小アルカナと対比すると、ここでの黄色は物質的なものの良さを選ぶ、楽しむ、享受する意味があるのかなと思いました。棒４では行動することより、休んで食べ物や遊び（これは物質的ゆとりがないと不可能）を楽しむことを選んでいます。聖杯９は言うに及ばず衣食遊興を楽しむカードです。
金貨９も物質的豊かさの基盤の上に優雅な暮らしを楽しむ。剣７は、筋道や正義よりも自分の得を選ぼうとするカードと言えるでしょう。

　黄色は太陽の色であると同時に金星の輝きを連想させる色でもあります。生を謳歌するのに物質的なものを避けては通れません。精神的なものだけで生きるのは仙人のすることです。生きいきとした人生を生き、何ごとかを成そうとするならば、物質的な力は必要不可欠でしょう。

　わたしはカバラ教義にはまったくうといのですが、シロウトでも言及できる程度にだけ触れてみようと思います。
　黄色は第６のセフィラ、ティファレト（美）の色。金属は金、惑星は太陽です。
　オレンジ色は第８のセフィラ、ホド（栄光）の色。金属は水銀、惑星は水星です。

　ここで、剣７の背景がオレンジがかった黄色である理由が判明したように思います。水星は知識とコミュニケーションの星ですから、剣のカードに作用するのは当然です。棒３も未来の展望を前に“栄光”を夢みている状態と言えますし、金貨ナイトやクイーンにもその傾向が強いのかも知れません。キングはすでに栄光を手にしていますし、ペイジはまだそのような野望を抱くに至っていないでしょう。クイーンは夫のステータス向上や豊かな財産を拠りどころとしています。ナイトはキングの命令下で年がら年中、地道な仕事に明け暮れています。「いつかきっと」の思いが強いのではないでしょうか。

あと、とても悩ましいのが【6･恋人たち】【11･正義】のカードです。


　【11･正義】のカード背景は黄色だと思われますが、紫色、もしくは赤紫色の垂れ幕でそのほとんどを覆われています。そして【6･恋人たち】は上の方は黄色、その下の部分は水色になっています。よく見ると、水色が奥側で黄色が手前になっているようですので、黄色背景とは言えないでしょう。しかしこのカードでの黄色の存在感は大きいです。

　【11･正義】では、太陽の恵みの力は働いているけれど、無条件に受けられるというワケにはいかない。神聖な基準（紫色）を通過したものだけがそれを受けられるのだ、と解釈出来るかもしれません。

　ちなみに紫色は第９のセフィラ、イェソド（基礎）の色。金属は銀、惑星は月。垂れ幕が赤紫だとすれば、赤は第５のセフィラ、ゲブラー（峻厳）の色。金属は鉄、惑星は火星です。イェソドの惑星・月といい、ゲブラーの火星といい、感情の力が強く働いているようですね。

　【6･恋人たち】は、今は太陽や金星の恵みをいっぱいに享受して楽しそうだけれども、その先にはクリアな意識の状態（水色）に変わる…ということかも知れません。

　水色は青と白の中間です。青は第４のセフィラ、ケセド（慈悲）の色。金属は錫、惑星は木星。白は第１のセフィラ、ケテル（王冠）の色。金属ではなく宝石でダイヤモンド、惑星は海王星。
　木星や海王星にはあまり澄み切った明晰さのイメージはありません。しかし“慈悲”や、“王の寛大さ”を示すには、容易なことで怒ったり暴れたりしない精神の安定や高貴さが必要だ、とも考えられます。

　最後に【剣10】に注目したいと思います。
このカードの背景は黒です。しかし黒の向こうには確かに黄色が見えます。【6･恋人たち】の時と同様に解釈すれば、今は黒い闇が覆っているけれども後に太陽の恵みがここまでやってくる、受け取れると言えるでしょう。こんな傷だらけの人でも時間が経てばまた人生に対して前向きになれる…という力強いメッセージが伝わってきます。

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　背景の黄色ひとつとっても、色々なバリエーションを検討しはじめると「ではこれはどうなのだろう？」と次から次へと興味が湧き起こってきました。
　次回は地面の黄色について考えてみたいと思います。

　今後とも当ブログをどうぞよろしくお願いします。