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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
長文OK・お暇な方のみお読み下さいませ。(・∀・)サワツ純子
※各ブログ記事へのインデックスを作ってみました。良ければご利用ください※
【宣伝】
興味のある方はどうぞお越しくださいませ。
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今回は色の考察【灰色】の第20回、小アルカナ【剣のスート】の灰色部分(1-2)背景が灰色のもの の、つづきです。
灰色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。
カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。
分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。
*-*-*-*-*-*-*
(1)背景が灰色のもの…
【剣1】【剣3】【剣8】【剣4】【剣6】
これらはすべて背景の奥が灰色のものです。灰色の分量や質感が多いもの順に並べています。
*-*-*-*-*-*-*
【剣3】背景がほぼ全部灰色です。
カード上部に3つの雲の塊があり、雨が降っています。
雲よりも背景の方が濃い灰色です。
よく見るとこの雲は【剣1】の雲と描かれ方が違います。
【剣1】の雲は、渦模様がたくさん描かれて質感が濃い印象です。【剣3】の雲は輪郭が描かれているのみで、あとは一面ベタに塗りつぶされています。
両者の雲の違いは何なんでしょうか?
【剣1】からは剣を握った白い手が伸び出ています。【剣3】の雲は雨を降らせています。普通、雲から手は出てきませんから、【剣3】の雲は自然の雲で、【剣1】の雲は象徴としての雲なのかも知れません。
【剣3】では雨が降っています。雨は「水」です。
灰色の雲を「濁った感情がある」とすると、雨は「濁った感情が冷やされて、より純度の高い感情になった」現象と捉えられるかも知れません。
『世界シンボル事典』で『雨』の項目を見ると次のような記述があります。
引用がとても長くなりましたが、上記は雨を『肉体を潤し、魂を浄化させ、生命を豊かにするもの』と表現しています。【剣3】における雨も同様でしょう。
『雲=濁った感情…悲しみや苦しみや、怒りや苦しみといったつらい気持ち』が純化して『雨』になったことで、真っ赤に腫れあがったハートの炎症は癒され、潤い、力を取り戻していくのだろうと思います。
背景の灰色が雲よりも濃いのは、この傷ついた心をめぐる状況が不安だったりはっきりしないことを示唆しているでしょう。正義と不正義が混じりあって何が正しいのか釈然としないのかも知れません。
この心は現実(世俗・物質的な世界)の中で傷ついたのだろうし、また同じ現実の中で傷が癒える過程にあるとも言えそうです。傷つけるのも、癒し立ち直らせるのも、同じ知恵(=コクマー)の力と言えるかも知れません。
ちなみに【剣3】の剣の色は鮮やかな青色をしています。
赤いハートを刺し貫いている剣(考え)は「もっとより良く」という向上心にあふれ高い精神性に満ちているようです。
心を傷つけるときにも癒すときにも、純度の高い精神性が強く働いているのが興味深いです。
*-*-*-*-*-*-*
【剣8】背景のほとんどが灰色です。下4分の1ほどがオレンジ色の地面になっています。
ちなみにオレンジ色=橙色はカバラ生命の樹で第8のセフィロト、ホド(=栄光)と対応しています。アルカナの数字と同じですね。
このカードにも水が描かれています。地面に水溜りがたくさん描かれ、手前は濃い青色、奥は薄い水色で彩色されています。
手前が現在、奥が未来とすると、今の方が精神性が高い状態のようです。精神性の高い感情(=水)がこの人の足を濡らしています。
絵柄のイメージからすると、この「精神性」は良いように作用してないように見えます。
先ほど、【剣3】の時に引用した『世界シンボル事典』の「雨」項目の一部が思い浮かびます。
”「雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。」”
この人が立っているのは水浸しの大地です。精神性の高い感情は立派ですが、この人の身体を冷やし、体力を刻一刻と奪っているように見えます。
精神性の高さは、しばしば現実的なものの見方を軽んじることがあります。この人が目隠しでものの見えない状態に置かれていることと通じているようです。
剣の色にはばらつきがあります。カード向かって右側の5本は綺麗な青色と白、人物のすぐ左の剣は、柄が灰色です。
これはただの塗り損じでしょうか、それとも意図的なのでしょうか?左の3本は右の5本と比べて青色が薄いような気がします。
この色のばらつきについては深読みすれば幾らでも出来そうですが、しっくりとくる考えが浮かばないので割愛します。
本題の、背景の灰色については、空一面と、奥に聳える立派なお城が一様な灰色です。
このお城は下の方が山や崖のようにごつごつとしています。『世界シンボル事典』で「城」を引いてみると「城砦」という項目に当てはまりました。その挿絵がまさにカードに描かれた城のように、容易には攻め落とされないようゴツゴツとした山の上に築かれています。
要約して引用してみます。
*…たえず戦争や侵略の危険にさらされてきたので、人びとが安全な避難所を求めたり、神への信仰によってその避難所が得られると考えたりしたのも当然のことであった…キリスト者の信仰も、悪魔の追跡をかわせるように、砦や塔で守られた建造物のように堅固でなくてはならないと説いた。…ちなみに16~17世紀、中部ヨーロッパの南東部にトルコ軍が侵攻してきた時には、多くの教会が防御のために改築され、周囲に塀が巡らされたので、神の砦という古くからのイメージが一時的に現実のものとなった。*
『神の砦』という概念を用いるならば、城外に一人ぽつんと放り出されたこの人は、神の加護から放り出された人のように見えます。
…しかしこの全体的に灰色一色の城砦には、『神の』という雰囲気はありません。
灰色の城砦は世俗的で保守的で、善悪の基準も曖昧な、『世間という堅固な砦』と考えられるのではないでしょうか。
この罪人めいた人は『冷たい世間』からつまはじきになっている状態、と解釈できそうです。
しかし世俗的であること、善と悪のはざまで現実的な融通を利かせること、多勢に逆らわず保守的な習いに従うことは、生きていく不安に対応できる知恵(=コクマー)でもあると言えるでしょう。
【剣8】においては、この人が愚かな罪人で世間が真っ当なのか、反対にこの人が可哀相な犠牲者で世間が暗愚な保守派なのか、どちらか区別がつきません。おそらくどちらでもあるのだと思います。
*-*-*-*-*-*-*
久しぶりのタロット記事でした。
記事を更新するにつれ、一枚あたりの文章量が多くなりすぎているなぁと思います。灰色だけでもう20回も費やしているのかと改めて気付いてびっくりしました。
コツコツと続けていこうと思います。
今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
今回は色の考察【灰色】の第20回、小アルカナ【剣のスート】の灰色部分(1-2)背景が灰色のもの の、つづきです。
灰色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。
カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。
分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。
*-*-*-*-*-*-*
(1)背景が灰色のもの…
【剣1】【剣3】【剣8】【剣4】【剣6】
これらはすべて背景の奥が灰色のものです。灰色の分量や質感が多いもの順に並べています。
*-*-*-*-*-*-*
【剣3】背景がほぼ全部灰色です。
カード上部に3つの雲の塊があり、雨が降っています。
雲よりも背景の方が濃い灰色です。
よく見るとこの雲は【剣1】の雲と描かれ方が違います。
【剣1】の雲は、渦模様がたくさん描かれて質感が濃い印象です。【剣3】の雲は輪郭が描かれているのみで、あとは一面ベタに塗りつぶされています。
両者の雲の違いは何なんでしょうか?
【剣1】からは剣を握った白い手が伸び出ています。【剣3】の雲は雨を降らせています。普通、雲から手は出てきませんから、【剣3】の雲は自然の雲で、【剣1】の雲は象徴としての雲なのかも知れません。
【剣3】では雨が降っています。雨は「水」です。
灰色の雲を「濁った感情がある」とすると、雨は「濁った感情が冷やされて、より純度の高い感情になった」現象と捉えられるかも知れません。
『世界シンボル事典』で『雨』の項目を見ると次のような記述があります。
引用がとても長くなりましたが、上記は雨を『肉体を潤し、魂を浄化させ、生命を豊かにするもの』と表現しています。【剣3】における雨も同様でしょう。
『雲=濁った感情…悲しみや苦しみや、怒りや苦しみといったつらい気持ち』が純化して『雨』になったことで、真っ赤に腫れあがったハートの炎症は癒され、潤い、力を取り戻していくのだろうと思います。
背景の灰色が雲よりも濃いのは、この傷ついた心をめぐる状況が不安だったりはっきりしないことを示唆しているでしょう。正義と不正義が混じりあって何が正しいのか釈然としないのかも知れません。
この心は現実(世俗・物質的な世界)の中で傷ついたのだろうし、また同じ現実の中で傷が癒える過程にあるとも言えそうです。傷つけるのも、癒し立ち直らせるのも、同じ知恵(=コクマー)の力と言えるかも知れません。
ちなみに【剣3】の剣の色は鮮やかな青色をしています。
赤いハートを刺し貫いている剣(考え)は「もっとより良く」という向上心にあふれ高い精神性に満ちているようです。
心を傷つけるときにも癒すときにも、純度の高い精神性が強く働いているのが興味深いです。
*-*-*-*-*-*-*
【剣8】背景のほとんどが灰色です。下4分の1ほどがオレンジ色の地面になっています。
ちなみにオレンジ色=橙色はカバラ生命の樹で第8のセフィロト、ホド(=栄光)と対応しています。アルカナの数字と同じですね。
このカードにも水が描かれています。地面に水溜りがたくさん描かれ、手前は濃い青色、奥は薄い水色で彩色されています。
手前が現在、奥が未来とすると、今の方が精神性が高い状態のようです。精神性の高い感情(=水)がこの人の足を濡らしています。
絵柄のイメージからすると、この「精神性」は良いように作用してないように見えます。
先ほど、【剣3】の時に引用した『世界シンボル事典』の「雨」項目の一部が思い浮かびます。
”「雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。」”
この人が立っているのは水浸しの大地です。精神性の高い感情は立派ですが、この人の身体を冷やし、体力を刻一刻と奪っているように見えます。
精神性の高さは、しばしば現実的なものの見方を軽んじることがあります。この人が目隠しでものの見えない状態に置かれていることと通じているようです。
剣の色にはばらつきがあります。カード向かって右側の5本は綺麗な青色と白、人物のすぐ左の剣は、柄が灰色です。
これはただの塗り損じでしょうか、それとも意図的なのでしょうか?左の3本は右の5本と比べて青色が薄いような気がします。
この色のばらつきについては深読みすれば幾らでも出来そうですが、しっくりとくる考えが浮かばないので割愛します。
本題の、背景の灰色については、空一面と、奥に聳える立派なお城が一様な灰色です。
このお城は下の方が山や崖のようにごつごつとしています。『世界シンボル事典』で「城」を引いてみると「城砦」という項目に当てはまりました。その挿絵がまさにカードに描かれた城のように、容易には攻め落とされないようゴツゴツとした山の上に築かれています。
要約して引用してみます。
*…たえず戦争や侵略の危険にさらされてきたので、人びとが安全な避難所を求めたり、神への信仰によってその避難所が得られると考えたりしたのも当然のことであった…キリスト者の信仰も、悪魔の追跡をかわせるように、砦や塔で守られた建造物のように堅固でなくてはならないと説いた。…ちなみに16~17世紀、中部ヨーロッパの南東部にトルコ軍が侵攻してきた時には、多くの教会が防御のために改築され、周囲に塀が巡らされたので、神の砦という古くからのイメージが一時的に現実のものとなった。*
『神の砦』という概念を用いるならば、城外に一人ぽつんと放り出されたこの人は、神の加護から放り出された人のように見えます。
…しかしこの全体的に灰色一色の城砦には、『神の』という雰囲気はありません。
灰色の城砦は世俗的で保守的で、善悪の基準も曖昧な、『世間という堅固な砦』と考えられるのではないでしょうか。
この罪人めいた人は『冷たい世間』からつまはじきになっている状態、と解釈できそうです。
しかし世俗的であること、善と悪のはざまで現実的な融通を利かせること、多勢に逆らわず保守的な習いに従うことは、生きていく不安に対応できる知恵(=コクマー)でもあると言えるでしょう。
【剣8】においては、この人が愚かな罪人で世間が真っ当なのか、反対にこの人が可哀相な犠牲者で世間が暗愚な保守派なのか、どちらか区別がつきません。おそらくどちらでもあるのだと思います。
*-*-*-*-*-*-*
久しぶりのタロット記事でした。
記事を更新するにつれ、一枚あたりの文章量が多くなりすぎているなぁと思います。灰色だけでもう20回も費やしているのかと改めて気付いてびっくりしました。
コツコツと続けていこうと思います。
今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
灰色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。
・世俗的、物質的な要素を表わす
・第2のセフィラ「コクマー(知恵)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・相反する2つのものの中間、および混成
・不安、見通しの悪さ、不明瞭さ
・灰色に黒の点々は石造りであることを表わしている。
*石は固く永続性があり「神の力の顕現」の意味もある*
・第2のセフィラ「コクマー(知恵)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・相反する2つのものの中間、および混成
・不安、見通しの悪さ、不明瞭さ
・灰色に黒の点々は石造りであることを表わしている。
*石は固く永続性があり「神の力の顕現」の意味もある*
カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。
分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。
*-*-*-*-*-*-*
(1)背景が灰色のもの…
【剣1】【剣3】【剣8】【剣4】【剣6】
これらはすべて背景の奥が灰色のものです。灰色の分量や質感が多いもの順に並べています。
*-*-*-*-*-*-*
【剣3】背景がほぼ全部灰色です。
カード上部に3つの雲の塊があり、雨が降っています。
雲よりも背景の方が濃い灰色です。
よく見るとこの雲は【剣1】の雲と描かれ方が違います。
【剣1】の雲は、渦模様がたくさん描かれて質感が濃い印象です。【剣3】の雲は輪郭が描かれているのみで、あとは一面ベタに塗りつぶされています。
両者の雲の違いは何なんでしょうか?
【剣1】からは剣を握った白い手が伸び出ています。【剣3】の雲は雨を降らせています。普通、雲から手は出てきませんから、【剣3】の雲は自然の雲で、【剣1】の雲は象徴としての雲なのかも知れません。
【剣3】では雨が降っています。雨は「水」です。
灰色の雲を「濁った感情がある」とすると、雨は「濁った感情が冷やされて、より純度の高い感情になった」現象と捉えられるかも知れません。
『世界シンボル事典』で『雨』の項目を見ると次のような記述があります。
*ビンゲンの聖ヒルデガルト(1098-1179)は、雨を、肉体を開花させる魂の生命力に喩えている。「雨が大地を潤すのと同じように、魂は肉体を干からびないようにする。雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。雨が大地を潤して活気づけるように、魂からは肉体を活気づける力が流れ出ているのである……」
ヒルデガルトは雨を涙に比して、こうも述べている。「雲が天上から水を受けて下界に雨を降らすように、霊的な人間は主への畏怖の念に心を揺さぶられると、どっと涙を流す」。悔悛の涙という神の賜物は、緑をもたらす生命力となって「その人の罪を浄める」。
(中略)
旧約聖書の「詩編」(72:6,「ソロモンの詩」)では、王が公正で平和的に統治するようにとの願いを「王が牧場に降る雨となり、地を潤す豊かな雨となりますように」と歌っている。*
引用がとても長くなりましたが、上記は雨を『肉体を潤し、魂を浄化させ、生命を豊かにするもの』と表現しています。【剣3】における雨も同様でしょう。
『雲=濁った感情…悲しみや苦しみや、怒りや苦しみといったつらい気持ち』が純化して『雨』になったことで、真っ赤に腫れあがったハートの炎症は癒され、潤い、力を取り戻していくのだろうと思います。
背景の灰色が雲よりも濃いのは、この傷ついた心をめぐる状況が不安だったりはっきりしないことを示唆しているでしょう。正義と不正義が混じりあって何が正しいのか釈然としないのかも知れません。
この心は現実(世俗・物質的な世界)の中で傷ついたのだろうし、また同じ現実の中で傷が癒える過程にあるとも言えそうです。傷つけるのも、癒し立ち直らせるのも、同じ知恵(=コクマー)の力と言えるかも知れません。
ちなみに【剣3】の剣の色は鮮やかな青色をしています。
赤いハートを刺し貫いている剣(考え)は「もっとより良く」という向上心にあふれ高い精神性に満ちているようです。
心を傷つけるときにも癒すときにも、純度の高い精神性が強く働いているのが興味深いです。
*-*-*-*-*-*-*
【剣8】背景のほとんどが灰色です。下4分の1ほどがオレンジ色の地面になっています。
ちなみにオレンジ色=橙色はカバラ生命の樹で第8のセフィロト、ホド(=栄光)と対応しています。アルカナの数字と同じですね。
このカードにも水が描かれています。地面に水溜りがたくさん描かれ、手前は濃い青色、奥は薄い水色で彩色されています。
手前が現在、奥が未来とすると、今の方が精神性が高い状態のようです。精神性の高い感情(=水)がこの人の足を濡らしています。
絵柄のイメージからすると、この「精神性」は良いように作用してないように見えます。
先ほど、【剣3】の時に引用した『世界シンボル事典』の「雨」項目の一部が思い浮かびます。
”「雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。」”
この人が立っているのは水浸しの大地です。精神性の高い感情は立派ですが、この人の身体を冷やし、体力を刻一刻と奪っているように見えます。
精神性の高さは、しばしば現実的なものの見方を軽んじることがあります。この人が目隠しでものの見えない状態に置かれていることと通じているようです。
剣の色にはばらつきがあります。カード向かって右側の5本は綺麗な青色と白、人物のすぐ左の剣は、柄が灰色です。
これはただの塗り損じでしょうか、それとも意図的なのでしょうか?左の3本は右の5本と比べて青色が薄いような気がします。
この色のばらつきについては深読みすれば幾らでも出来そうですが、しっくりとくる考えが浮かばないので割愛します。
本題の、背景の灰色については、空一面と、奥に聳える立派なお城が一様な灰色です。
このお城は下の方が山や崖のようにごつごつとしています。『世界シンボル事典』で「城」を引いてみると「城砦」という項目に当てはまりました。その挿絵がまさにカードに描かれた城のように、容易には攻め落とされないようゴツゴツとした山の上に築かれています。
要約して引用してみます。
*…たえず戦争や侵略の危険にさらされてきたので、人びとが安全な避難所を求めたり、神への信仰によってその避難所が得られると考えたりしたのも当然のことであった…キリスト者の信仰も、悪魔の追跡をかわせるように、砦や塔で守られた建造物のように堅固でなくてはならないと説いた。…ちなみに16~17世紀、中部ヨーロッパの南東部にトルコ軍が侵攻してきた時には、多くの教会が防御のために改築され、周囲に塀が巡らされたので、神の砦という古くからのイメージが一時的に現実のものとなった。*
『神の砦』という概念を用いるならば、城外に一人ぽつんと放り出されたこの人は、神の加護から放り出された人のように見えます。
…しかしこの全体的に灰色一色の城砦には、『神の』という雰囲気はありません。
灰色の城砦は世俗的で保守的で、善悪の基準も曖昧な、『世間という堅固な砦』と考えられるのではないでしょうか。
この罪人めいた人は『冷たい世間』からつまはじきになっている状態、と解釈できそうです。
しかし世俗的であること、善と悪のはざまで現実的な融通を利かせること、多勢に逆らわず保守的な習いに従うことは、生きていく不安に対応できる知恵(=コクマー)でもあると言えるでしょう。
【剣8】においては、この人が愚かな罪人で世間が真っ当なのか、反対にこの人が可哀相な犠牲者で世間が暗愚な保守派なのか、どちらか区別がつきません。おそらくどちらでもあるのだと思います。
*-*-*-*-*-*-*
久しぶりのタロット記事でした。
記事を更新するにつれ、一枚あたりの文章量が多くなりすぎているなぁと思います。灰色だけでもう20回も費やしているのかと改めて気付いてびっくりしました。
コツコツと続けていこうと思います。
今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
今回は色の考察【灰色】の第20回、小アルカナ【剣のスート】の灰色部分(1-2)背景が灰色のもの の、つづきです。
灰色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。
・世俗的、物質的な要素を表わす
・第2のセフィラ「コクマー(知恵)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・相反する2つのものの中間、および混成
・不安、見通しの悪さ、不明瞭さ
・灰色に黒の点々は石造りであることを表わしている。
*石は固く永続性があり「神の力の顕現」の意味もある*
・第2のセフィラ「コクマー(知恵)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・相反する2つのものの中間、および混成
・不安、見通しの悪さ、不明瞭さ
・灰色に黒の点々は石造りであることを表わしている。
*石は固く永続性があり「神の力の顕現」の意味もある*
カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。
分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。
*-*-*-*-*-*-*
(1)背景が灰色のもの…
【剣1】【剣3】【剣8】【剣4】【剣6】
これらはすべて背景の奥が灰色のものです。灰色の分量や質感が多いもの順に並べています。
*-*-*-*-*-*-*
【剣3】背景がほぼ全部灰色です。
カード上部に3つの雲の塊があり、雨が降っています。
雲よりも背景の方が濃い灰色です。
よく見るとこの雲は【剣1】の雲と描かれ方が違います。
【剣1】の雲は、渦模様がたくさん描かれて質感が濃い印象です。【剣3】の雲は輪郭が描かれているのみで、あとは一面ベタに塗りつぶされています。
両者の雲の違いは何なんでしょうか?
【剣1】からは剣を握った白い手が伸び出ています。【剣3】の雲は雨を降らせています。普通、雲から手は出てきませんから、【剣3】の雲は自然の雲で、【剣1】の雲は象徴としての雲なのかも知れません。
【剣3】では雨が降っています。雨は「水」です。
灰色の雲を「濁った感情がある」とすると、雨は「濁った感情が冷やされて、より純度の高い感情になった」現象と捉えられるかも知れません。
『世界シンボル事典』で『雨』の項目を見ると次のような記述があります。
*ビンゲンの聖ヒルデガルト(1098-1179)は、雨を、肉体を開花させる魂の生命力に喩えている。「雨が大地を潤すのと同じように、魂は肉体を干からびないようにする。雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。雨が大地を潤して活気づけるように、魂からは肉体を活気づける力が流れ出ているのである……」
ヒルデガルトは雨を涙に比して、こうも述べている。「雲が天上から水を受けて下界に雨を降らすように、霊的な人間は主への畏怖の念に心を揺さぶられると、どっと涙を流す」。悔悛の涙という神の賜物は、緑をもたらす生命力となって「その人の罪を浄める」。
(中略)
旧約聖書の「詩編」(72:6,「ソロモンの詩」)では、王が公正で平和的に統治するようにとの願いを「王が牧場に降る雨となり、地を潤す豊かな雨となりますように」と歌っている。*
引用がとても長くなりましたが、上記は雨を『肉体を潤し、魂を浄化させ、生命を豊かにするもの』と表現しています。【剣3】における雨も同様でしょう。
『雲=濁った感情…悲しみや苦しみや、怒りや苦しみといったつらい気持ち』が純化して『雨』になったことで、真っ赤に腫れあがったハートの炎症は癒され、潤い、力を取り戻していくのだろうと思います。
背景の灰色が雲よりも濃いのは、この傷ついた心をめぐる状況が不安だったりはっきりしないことを示唆しているでしょう。正義と不正義が混じりあって何が正しいのか釈然としないのかも知れません。
この心は現実(世俗・物質的な世界)の中で傷ついたのだろうし、また同じ現実の中で傷が癒える過程にあるとも言えそうです。傷つけるのも、癒し立ち直らせるのも、同じ知恵(=コクマー)の力と言えるかも知れません。
ちなみに【剣3】の剣の色は鮮やかな青色をしています。
赤いハートを刺し貫いている剣(考え)は「もっとより良く」という向上心にあふれ高い精神性に満ちているようです。
心を傷つけるときにも癒すときにも、純度の高い精神性が強く働いているのが興味深いです。
*-*-*-*-*-*-*
【剣8】背景のほとんどが灰色です。下4分の1ほどがオレンジ色の地面になっています。
ちなみにオレンジ色=橙色はカバラ生命の樹で第8のセフィロト、ホド(=栄光)と対応しています。アルカナの数字と同じですね。
このカードにも水が描かれています。地面に水溜りがたくさん描かれ、手前は濃い青色、奥は薄い水色で彩色されています。
手前が現在、奥が未来とすると、今の方が精神性が高い状態のようです。精神性の高い感情(=水)がこの人の足を濡らしています。
絵柄のイメージからすると、この「精神性」は良いように作用してないように見えます。
先ほど、【剣3】の時に引用した『世界シンボル事典』の「雨」項目の一部が思い浮かびます。
”「雨が降りすぎることなく適度の湿り気をもたらすなら、大地は芽吹く。だが降りすぎるなら、芽は水浸しになり大地は滅びる。」”
この人が立っているのは水浸しの大地です。精神性の高い感情は立派ですが、この人の身体を冷やし、体力を刻一刻と奪っているように見えます。
精神性の高さは、しばしば現実的なものの見方を軽んじることがあります。この人が目隠しでものの見えない状態に置かれていることと通じているようです。
剣の色にはばらつきがあります。カード向かって右側の5本は綺麗な青色と白、人物のすぐ左の剣は、柄が灰色です。
これはただの塗り損じでしょうか、それとも意図的なのでしょうか?左の3本は右の5本と比べて青色が薄いような気がします。
この色のばらつきについては深読みすれば幾らでも出来そうですが、しっくりとくる考えが浮かばないので割愛します。
本題の、背景の灰色については、空一面と、奥に聳える立派なお城が一様な灰色です。
このお城は下の方が山や崖のようにごつごつとしています。『世界シンボル事典』で「城」を引いてみると「城砦」という項目に当てはまりました。その挿絵がまさにカードに描かれた城のように、容易には攻め落とされないようゴツゴツとした山の上に築かれています。
要約して引用してみます。
*…たえず戦争や侵略の危険にさらされてきたので、人びとが安全な避難所を求めたり、神への信仰によってその避難所が得られると考えたりしたのも当然のことであった…キリスト者の信仰も、悪魔の追跡をかわせるように、砦や塔で守られた建造物のように堅固でなくてはならないと説いた。…ちなみに16~17世紀、中部ヨーロッパの南東部にトルコ軍が侵攻してきた時には、多くの教会が防御のために改築され、周囲に塀が巡らされたので、神の砦という古くからのイメージが一時的に現実のものとなった。*
『神の砦』という概念を用いるならば、城外に一人ぽつんと放り出されたこの人は、神の加護から放り出された人のように見えます。
…しかしこの全体的に灰色一色の城砦には、『神の』という雰囲気はありません。
灰色の城砦は世俗的で保守的で、善悪の基準も曖昧な、『世間という堅固な砦』と考えられるのではないでしょうか。
この罪人めいた人は『冷たい世間』からつまはじきになっている状態、と解釈できそうです。
しかし世俗的であること、善と悪のはざまで現実的な融通を利かせること、多勢に逆らわず保守的な習いに従うことは、生きていく不安に対応できる知恵(=コクマー)でもあると言えるでしょう。
【剣8】においては、この人が愚かな罪人で世間が真っ当なのか、反対にこの人が可哀相な犠牲者で世間が暗愚な保守派なのか、どちらか区別がつきません。おそらくどちらでもあるのだと思います。
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久しぶりのタロット記事でした。
記事を更新するにつれ、一枚あたりの文章量が多くなりすぎているなぁと思います。灰色だけでもう20回も費やしているのかと改めて気付いてびっくりしました。
コツコツと続けていこうと思います。
今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
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