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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
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 今回は色の考察【黒色】の第1回、(1)背景が黒いもの について検討します。
 黒色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。

・第3のセフィラ「ビナー(理解)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・極端さ、甚だしさ、絶対性、神と関連
・闇、悲しみ、光がない状態
・試練や停滞
・進化に必要な過程

 カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
 『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。

 分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。

*-*-*-*-*-*-*

(1)背景が黒いもの…
【16・塔】【15・悪魔】

10】【金貨5】【9】【金貨3】

 前回書いたように、わたし個人は「黒」というとまず「光がない状態」と発想するので、黒背景の6枚のカードを『光の様子』ごとに分類してみました。

*-*-*-*-*-*-*

 【16・塔】は6枚の中で最も強く激しい光があるように見えます。天から“いかずち”が落ち、激しい稲妻が塔のてっぺんを打っています。塔からは火が吹き燃えています。塔のてっぺんが吹き飛んでしまうほどの稲妻と炎はとてもまぶしく強い光を発しているはずです。また、空中には火の粉のようなものが飛び散っています。

 【15・悪魔】には、燃えている松明の炎の光があります。暗闇の中で、悪魔が持っているこの松明の炎はさぞかし煌々と輝いているでしょう。鎖に繋がれた人間の男性がつけている尻尾も炎の形をしています。

 上記の二つには炎が描かれています。殊に【16・塔】には稲妻の光が大きく描かれており、光源の強さと神々しさが強調されているようです。炎が描かれている2枚はどちらも大アルカナです。

 【10】は上半分は黒ですが、中ほどは黄色です。厳密に言えば『黒背景の札』とは言えないかも知れません。
 この札には暁の光が広がっています。上記2枚のように強い光を発する炎や稲妻は描かれていませんが、光の量は多いです。この札の光は太陽からのもので、温かみを感じさせます。

 【金貨5】には教会の窓からもれる燈明の光があります。外を歩く二人は寒そうですが、教会のドアを叩けばその明るさとぬくもりを得られるはずです。室内の燈明はむき出しの火ではありませんが、とても安全で安定しており、人に安心と快さを与えてくれます。
 また、貧しい二人の足元は真っ白な雪で、この白さが冷たいながらもどこかほの明るさをもたらしています。

 【9】には光が見当たりません。しかしわずかに9本の剣の“柄”がどこかの光を反射しているようです。この光は小さくかすかで見落としてしまいそうです。ぬくもりもありません。しかし闇の中で“本気で”光を探そうとすれば、見出せるはずの輝きではないでしょうか。

 【金貨3】これはおそらく昼間の場面です。太陽の光も燈明も見当たりませんが、昼間なので自然光で充分なのでしょう。昼間は皆が働いています。カード全体のイメージはさほど暗くはありません。
 しかし教会の中、奥の方のこの暗さはどうでしょう。まるで吸い込まれそうな深い闇に見えます。外の明るさに対して屋内のこの暗さには何か意味深なものを感じますが、それは一体何なのでしょうか。

*-*-*-*-*-*-*

 次回から上記6枚について順に詳しくみて行きたいと思います。その前に、大アルカナの2枚に描かれている稲妻、雷、火について、いつものように『世界シンボル事典』で調べてみました。
 かなり内容が多くなりますが、かいつまんで引用してみます。これらを読んでいるだけでとても面白いです。気になった部分に下線を引いておきます。

『稲妻』: 稲妻は、天からの放電現象だが、地上に火と破壊をもたらす印象が強烈なため、あらゆる古代文明において超自然の力のシンボルとみなされていた。斧や槌の形で表現される稲妻を使って、地上の敵を破滅させたり反抗的な人間を懲らしめたりするのは、たいてい天上の神、あるいは神々の王たる主神である。また稲妻は天から発せられるので、天上からの啓示の象徴としての役割も果たした。
(中略)
 キリスト教圏では、稲妻は神の顕現(シナイ山での十戒の啓示)や最後の審判を象徴するものであった。ルネサンス期の寓意画では、稲妻は神意の不可知性を告げる象徴とされている。バロック期の詩人ホーベルク男爵も『預言者ダビデ王の遊歩薬草園』(1675)の中に次のような詩を書いている。「神が天より稲妻を放てば/城砦も防塁も城壁も壕も用をなさばこそ。/番人が一心に見張りをしたとて甲斐はなく、/災いから守るはただ神の御心のみ

《雷》: 雷(雷鳴)は、多くの古代文化で稲妻と同じように天上にある者(たいていは神々)が、みずからの存在を音によって力強く誇示するさまと考えられている。天から響く轟きは「上」にある者の力のあらわれと理解され、
(中略)
 雷はしばしば、宇宙の秩序が乱されたことに対する神の怒りと解釈され
(中略)
 一般に、雷は天界の力を印象深く示し、かつそれを身をもって実感させるものと考えられている。この力は人間を脅かす一方で、時には悪意を持つ存在から守ってくれることもある。

 稲妻も雷もほとんど同じものじゃないかと思っていましたが、上記の説明を読むと、《稲妻》ははっきりと神の顕現であるのに対し、《雷》は“天上にある者”というのみで、必ずしも“神”ではないみたいですね。日本では「かみなり…神鳴り」という連想が働きますが。。稲妻は実際に破壊をもたらすからでしょうか。雷はゴロゴロ鳴るだけだからかも知れませんね。

《火》: 四大元素の1つ。生きているかのように見え、焼く、暖める、光を放つなどの働きをもつ一方で、苦しみや死をもたらすこともある。そのため火はシンボルとしても相反する意味をあわせもっている。
(中略)
 キリスト教においては、火は霊感や精霊の象徴ともなり…
(中略)
 一方、地獄の火、すべてを絶滅させる大火災、天から下る破壊の火である稲妻、地から噴出する火であるマグマなどの例からもうかがわれる通り、火はネガティブな側面もあわせもっている
 火を「飼いならす」ことは、人類にとってその黎明期以来、すなわち数百万年前からの課題であり、文化のはじまりを意味するものに他ならない。
 (中略)
 火は四大元素の中で唯一、人間がみずからの手で作り出すことのできるものであり、それゆえに火は人間にとって、みずからが神々の似姿であることの証とみなされた。多くの神話には、元来は神々に属するものであった火が奪われ、人間のものとなるに至る経緯が語られている。火に悪を滅ぼす力、魔女や悪霊に憑かれた者などの肉体を焼き尽くす力があると考えられたのも、おそらくはこのためだろう。カトリックの教義によれば、罪の汚れは煉獄の火によって浄められるという。
(中略)
 ギリシア神話では、女神デメテルが、半神デモポンの「地上の残滓」すなわち死すべき人間の部分を消し、不死の存在にするために、彼をかまどの火の中に入れたという。精神を病んだ者や贖罪者は、たいまつをもって歩き回らねばならないとされた。
(中略)
 火の「燃える」という性質には両義的な面があるため、火の神々や、火の元素と結びつきが強いとされる超自然的存在は、たとえばゲルマンの(火の神にして狡猾ないたずら者でもある)ロキのように、本質的に「トリックスター」であり、全幅の信頼をおくわけにはゆかない存在とされることが多い。しかし文明化が進行し、火を制御するすべを獲得するにつれて、火については「生きている炎」としてのポジティブな評価が支配的になった。(中略)
 E.エップリは『夢とその解釈』(1943)の中で、「夢の中で大きな炎に近づいてゆくときや、大きな炎が天を焦がすように空を染めるのを見た時は<神の力>の間近にある」。しかし「情熱の火は人を焼き尽くす炎となることもありうる。そしてそこには特定の理念・観念に囚われた情熱の火も含まれる」と述べている。

 稲妻が「天の・神の顕現」であるのに対して、火は「人間が神から奪ったもの」「制御しきれないもの」としてあるようです。
 【16・塔】では稲妻が、【15・悪魔】では松明の火が描かれているのと対応しているようですね。

*-*-*-*-*-*-*

 ほんとうはここで、《光》の項目も引用したいのですが、とても長くなるのでやめておきます。前回は《黒》の項目について引用しましたが、《闇》項目もあり、それぞれが大変興味深いです。また次回以降、折を見て引用してみたいと思います。

 それでは今後とも当ブログをよろしくお願いします。
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