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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
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 今回は色の考察【灰色】の第16回、小アルカナ【聖杯のスート】の灰色部分(5)その他の気になる灰色部分、1.水(雲)の濁り について考えてみます。
 灰色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。

・世俗的、物質的な要素を表わす
・第2のセフィラ「コクマー(知恵)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・相反する2つのものの中間、および混成
・不安、見通しの悪さ、不明瞭さ
・灰色に黒の点々は石造りであることを表わしている。
 *石は固く永続性があり「神の力の顕現」の意味もある*

 カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
 『世界シンボル事典』を参考図書として用います。参考箇所には文頭と文末に『*』をつけてあります。

 分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。

*-*-*-*-*-*-*

(5)その他の気になる灰色部分、1.水(雲)の濁りについて

聖杯10】………川の水が奥へ行くほど濁っている
聖杯クイーン】…水面がうっすら濁っている
聖杯ナイト】……川の水が奥へ行くほど濁っている
 この3枚は水が同じように濁って見えます。【聖杯10】では流れている川がかなり黒くなっています。毒でも入ってるんじゃないの?と思えるほどです。

 【聖杯クイーン】【聖杯ナイト】については、良く見ると濁りが黒ではなく赤色で施されているように見えます。ここでは灰色に注目したいので、赤色で施された濁りは関係ないようですが、この3枚を並べて見た時、水の濁り方がとてもよく似て見えるのです。ですので一緒に考えてみたいと思います。

聖杯4】…………雲が黄色っぽく濁っている
 これだけは雲(空気中の水分)が黄色く濁っています。

*-*-*-*-*-*-*

 【聖杯10】の濁りは何色で施されているのか見てみると、、一見黒に見えるのですが、赤や青が入っているようにも見えてどうも判然としません。

 生命の樹の色対応に、第10のセフィラ・マルクト(=王国)では『色はレモン色・オリーブ色・小豆色・黒の四色』とあります。
 【聖杯10】の水の濁りには、オリーブ色や小豆色や黒が混じっているように見れる気もします。また数字も“10”と、対応しています。そしてマルクトは物質的世界を表わします。『灰色』は世俗的・物質的な要素を表わしますから、どこか意味のある繋がりを感じさせます。

 【聖杯10】の川の濁りは、この家族の感情(=水)が最初は精神的・向上心に満ちていたものが、次第に世俗的・物質的な色を濃くしていくだろうことを表わしていそうに思えます。若い家族がそれぞれ歳を経るにつれて不協和音が生じることもあるでしょう。何かしら未来について不安を抱くかも知れませんし、向上し変化していこうとする気持ちと、経済的に安定した世俗的で変化の乏しい生活を守りたい気持ちが入り混じってくるとも考えられます。
 また、もちろん知恵(=コクマー)を発揮して家族の問題を解決していく機会も増えていくことでしょう。
 ここでの川の水は純粋に灰色とは言えないけれども、どこか意味的に似通っていると感じられます。

 またマルクト(=王国)の意をとれば、年月と共に彼らの王国がしっかりと築き上げられていくとも考えられます。世俗的になること、イコール、彼らの小さな王国「家族」が社会で栄えてゆくこと、と言えるのではないでしょうか。


 さて、この2枚の水の濁りは赤色で施されているように見えます。

 82_色の考察【灰色】14 の回でも少し触れましたが、赤は生命の樹・第5のセフィラ『峻厳』、火星に対応しています。火星は戦いや行動力を表わす色です。ウエイト版タロットでは感情の高まりを表わしているとも言われています。

 素直に解釈すれば【聖杯クイーン】【聖杯ナイト】の感情が、いつもかすかな高まりを伴っている、と表現できるでしょうか。

 とすれば、この2枚は【聖杯10】の水の濁りとは似て非なるものかも知れません。水の濁りとしては一見似ているのですが、彼らの感情はそれほど世俗的でも不安でもないと考えられます。

 もう一度【聖杯10】と【聖杯クイーン・ナイト】の組を比べてみると、灰色に塗られた面積にかなり違いがあります。
 【聖杯10】には灰色はほとんどありません。水の濁りもいわゆる『灰色』ではありません。一方【聖杯クイーン・ナイト】では灰色面積が多くなっています。二人とも大きな灰色のものに腰掛けています。この両者は物質的なものや世俗的価値観を基盤にしているようです。

 【聖杯10】の家族は世俗的な価値観や物質的なものよりも、人間として生きる上での美(=第6のセフィラ・テファレト/黄色)や勝利(=第7のセファラ・ネツァク/緑色)を基盤としているようです(地面が緑と黄色の中間色)。それは恐らく単純に、一人の稼ぎを4人で分け合うために余剰のお金があまりないからでしょう。もっともっとたくさんのお金があれば、この絵札は金貨10】のようになったのではないでしょうか。こちらは灰色面積が大きくなっています。
 【聖杯クイーン・ナイト】は、意外とお金を持っているのではないでしょうか。人が感情の豊かさそのものを味わうためには、ある程度の物質的余裕が必要なのかも知れません。

 灰色が表わす要素として「不安・不安定」を考えてみると、【聖杯10】では不安要素がほとんどないと解釈できそうです。ただ、彼らの感情の中に濁りがあるのみで、生活基盤としては非常に安定していると考えられそうです。
 対して【聖杯クイーン・ナイト】では、彼らが依拠している基盤そのものに不安・不安定要素があると解釈できます。なぜなのでしょう?お金に贅沢なのでしょうか。しっかりとした仕事を持っていないのでしょうか。彼らの感情は高まりを見せています。この感情の高まりは一体によるものなのでしょう。水の濁りは赤色ですが、これを不安と捉えるのは不適切なのでしょうか。色々と想像させられますが、これ以上結論めいたものを導くのは無理がありそうなので、ここで考察をやめることにします。


 さて、【聖杯4】は灰色の雲(=水)に黄緑色っぽい濁りが見られます。これは上記の3枚とまったく違った描かれ方です。

 塞ぎこんで考えている人物の前に現れた雲が聖杯を差し出しています。この雲は彼の内なる感情の一部なのでしょうか?

 4は『安定』を表わします。水ははっきりした形を持たないので『安定』との相性は良くないです。心が安定しきってしまうと『退屈』や『倦怠』となります。流れない水は濁りと腐敗を生じるのです。人の感情は退屈や倦怠を嫌います。

 とすれば、水にとっては4は決して「安定」ではなく、逆に「不安定」ではないでしょうか。【聖杯4】の雲が灰色をベースに描かれているのは、固定化してしまった彼の内なる感情が不安を感じているからではないでしょうか。

 雲は彼に聖杯を差し出しています。新たな好奇心の種を彼に与えようとしているのでしょう。面白そうなこと、興味を持てそうなこと、感情が気持ちよく波打ちそうなことだと思われます。

 そしてこの雲は、黄色と緑の中間のような濁りを持っています。黄色と緑の中間と言えば、【聖杯10】の地面の色と同じです。美や勝利を表わす色です。そういえば【聖杯4】にも灰色部分はほとんどありません。

 灰色部分が少ないことは、物質的に余裕がない状態をも暗示しているのでしょうか?【聖杯4】では青々とした芝生や、緑ゆたかな樹に、濃い青色の空など、自然の豊かさが感じられます。【聖杯10】も緑が青々として、空には虹がかかり、元気な子供たちと仲良しの夫婦がいて、生命の豊かさや自然の恵みが描かれていますね。

 それに対して【聖杯クイーン・ナイト】では、緑はほとんど描かれていません。景色も砂や石や荒地です。この対比は一体何を意味しているのでしょう。
 彼らは物質的・世俗的なものを基盤にしているけれど、生命や自然の豊かさには恵まれていないと言えるのでしょうか。

 ここでもやはり、これ以上無理に結論めいたものを追及するのはやめにしておきます。

*-*-*-*-*-*-*

 次回は【聖杯】の灰色の最後、2.【聖杯8】の地面と背景 の考察をしたいと思います。

 今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。

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