68_色の考察【青(空色/水色)】７／背景・小アルカナ・数字ごとの傾向

　今回は、小アルカナの背景に使われている青（空色/水色）のまとめ、数字ごとの傾向を見てみます。

　青色は、空に表れる精神性・クールさ、及び水に表れる情動・霊性、魂の進化と向上を目指す性質を表わすと考えて解釈していきます。

　カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットと、Merrimack Publishing Corp. から出版されたウエイト版タロットです。

　分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。ご了承の上、お読み下さい。

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　まず、これまで青色背景について検討して来た中で、特徴的と感じた要素についてまとめてみます。
　

青色背景＝
　・『元気』や『余裕』がある状態
　・水が描かれている時、すっきりしない要素がある
　・『より向上したい』という意欲がある

　加えて、以下のような特徴も感じられます。

　・精神的な充足や充実を目指している
　　（物質的な欲求ではない）
　・「プラスを生む＝創造的」な流れがある
　　（「マイナスを埋める」のではない）
　・前向き、未来志向

　これらの要素を探しながら、数字ごとにまとめてもう一度カード中の青色背景を見ていきます。

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２・小アルカナの背景の青
　(5)数字ごとに傾向を見る

ライダー版カード画像
１（エース）のカード

【金貨１】…薄い青色背景
【聖杯１】…灰色背景だが青みがある
【棒１】…灰色背景
【剣１】…灰色背景

　【金貨１】だけが青色背景です。ここでは物質的な要素がすでに満たされ、余裕が感じられます。この中では【金貨】のみが精神的充実と向上への条件が整っていると思われます。

　【聖杯１】では水が浪々と描かれています。この場合の「すっきりしない要素」とは、この聖杯＝心がたったひとつきり…ひとりぼっちである、という点だと思われます。しかし剣や棒のスートよりは「心が満たされている」分だけ前向きになれそうです。

　【棒１】ではまだ勢いが小さく元気が足りません。ここには川が描かれています。精神的な充実を目指すに至るには、時間の経過が必要なのかも知れません。例えばこの棒の芽が育ち、花が咲いて実がなればずいぶん賑やかに、楽しく元気になれそうです。
　【剣１】ではまだ、これから解決すべき問題が控えています。まず目に見える（＝物質的な）問題を解決できれば、そこから真に創造的な段階へ進めることでしょう。

２のカード

　棒以外の３枚で背景が青く彩色されている。濃い順に【剣２】【聖杯２】【金貨２】。

　２のカードでは【剣２】が一番青色が濃いです。
　争いたくないので現状に目をつぶり妥協する、という意味合いが読めます。たくさんの水が描かれています。剣は問題を解決するのが特質なのにそうしていません。ある意味、妥協出来るだけの『余裕』がある状態だとも考えられます。

　【聖杯２】の二人はしっかりがっちり向き合っています。【剣２】とは違い妥協も留保もありませんが、全力で向き合う二人の気持ちは充分満たされていることでしょう。これから二人は創造的な段階へ歩んで行くと思われます。背景はとても綺麗な青色です。

　【金貨２】は空色の背景です。この人物は２つも金貨を持っていますから物質的には満たされています。しかし状況に余裕はありません。彼はなんとかもっと余裕を作って精神的な充実感を得たいと思っているでしょう。

　【棒２】では、基本的に冒険しない姿勢が見て取れます。彼は既に手にしたものを重んじ、過去や内面を表す左側を向いています。物質的には満たされていますが、もっと向上しようという精神性がみられません。

３のカード

　【聖杯３】だけが青色の背景。

　【聖杯３】では飲み物や食べものに恵まれ、喜びと楽しみに満ちています。物質的にも精神的にも大いに余裕があります。背景は濃い青色をしています。彼女たちは相互によろこび祝福しあいながら、さらなる充実と発展を求めているでしょう。

　【棒３】は黄色背景で、援助に恵まれた状況です。今は彼らの成長の時で、物質的にもっと大きく・強くを目指しているのでしょう。精神的な充実を目指すのはまだ先のようです。

　【剣３】は剣が突き刺さった心が痛くて、精神的な充実どころではありません。今は傷を癒すのが急務です。
　【金貨３】では、たくさんのお金の使い道はすでに決まっています。それは形あるものを成すために費やされます。精神的な充実は今のところ後回しです。

４のカード

　【聖杯４】だけが青色の背景。

　【聖杯４】では座り込んだ人物が目を閉じています。目の前に差し出されたものにちっとも気づきません。満たされすぎているようです。しかし彼は『もっと精神的に充実したい』と思っています。その目を開ければ創造的な一歩を踏み出せそうなのですが。

　【棒４】は黄色背景です。恵まれた状況を堪能しています。今は楽しむことに夢中で、向上を目指すのは先送りにされています。
　【剣４】は、灰色と黄色の背景です。今は援助を全身に受けて元気を回復する時です。立ち上がる余裕は今はありません。
　【金貨４】は灰色背景です。４つものお金を抱えているのに、彼にはまったく余裕がありません。手も足も頭もお金で塞がっています。彼はモノを失うのをとても怖がっているので、精神的なことなどとても考えられないでしょう。

５のカード

　【棒５】【剣５】が青色の背景。

　【棒５】では綺麗な青色背景です。たくさんの人物が活発に動き、勢いや気力も感じられます。元気いっぱいで皆それぞれ切磋琢磨しています。この競争によって素晴らしい向上が実現されるでしょう。

　【剣５】は空色の背景です。彼は何としてでも勝ちたいと考えています。彼の笑みには余裕を感じます。しかしそれは他人からもぎ取った余裕であり、彼の自前の力ではないでしょう。彼はもっともっと勝ち進んでいくことを求めています。

　【聖杯５】では暗い灰色背景です。失望した様子の人物が中央に居ます。感情が昂っているようで顔を赤くしています。今この人物には、前向きな余裕はとてもありません。
　【金貨５】は、ほとんど黒い背景です。雪の中を歩いている貧者には今のところまったく余裕が見られません。

６のカード

　【棒６】が一番青みが強い。【剣６】【聖杯６】が同じくらい、【金貨６】は灰色背景だが、やや青みが感じられる。

　【棒６】は爽やかな青色背景。複数の人物の元気やよろこび、勝者の余裕が感じられます。彼らはこの勝利によって精神的な充実を得、創造的な活動を展開していくことでしょう。
　【剣６】は灰色背景ですが、絵表の多くを青色の水が占めています。不毛な闘いを避けるという困難にして賢明な選択は、精神的な価値と未来につながる創造性を重んじた行為だと言えます。
　【聖杯６】の絵表はほとんどは黄色ですが、背景は空色になっています。彼女たちは今、大人からの援助を受け恵まれています。やがて成長と共に活動範囲を広げ、自らの人生を創り上げていくことでしょう。
　【金貨６】は灰色背景ですが、かすかに青みがかっています。商人が自分の儲けのためでなく貧者にお金を与えるのは利益に反する行為です。しかし代わりに彼は、精神的な充実を得ることになるのです。
　貧者の側から見れば、彼らが得たのはお金ですが、精神的な恵みをも得ていると言えるでしょう。

７のカード

　【棒７】が濃い青色背景。【聖杯７】は空色背景。

　【棒７】では活発に戦う男性が描かれています。大切なものを守る闘いは彼に精神的な充実感を与えていることでしょう。
　【聖杯７】は空色背景。彼は充分に満ち足りていないようです。もっと充実したいなぁと夢を描いています。
　【剣７】は黄色背景です。彼は今恵まれた状況にあるようですが、精神的に不穏なようです。キョロキョロしている彼には余裕がありません。
　【金貨７】は灰色背景です。たくさんの実がなっているのに彼は満足していません。どうも元気も出ないようです。彼にはまず充分な『物質的成果』を上げることが必要なようです。

８のカード

　【棒８】が青色背景。【聖杯８】は暗い青色背景。

　【棒８】は勢い良く飛んでいく棒が８本も描かれています。すごいエネルギーです。目的を達成するため、たくさんの力が注がれています。この力はきっと創造的な成果を成し遂げるでしょう。
　【聖杯８】では暗いけれども濃い青色背景です。現状に満足できずどこかへ立ち去ろうとしています。彼はもっと完全な満足を求めているのでしょうが、それは果たして賢い選択でしょうか。一抹の疑問が残ります。

　【剣８】は灰色の背景です。剣に取り囲まれ、目隠しをされ、彼女にはまったく余裕がありません。今の状態を耐え忍ぶので精一杯でしょう。
　【金貨８】も灰色の背景です。彼は日がな一日同じ作業を繰り返しています。新しい工夫を凝らすのではなく、均一の質を維持することが大事なのです。今のところ彼には『さらなる向上』を求めることは許されていません。

９のカード

　【棒９】のみ青色背景。

　【棒９】ではたくさんの棒を前に途方にくれている男性がいます。この人物はケガをして疲れているようすですが、闘いを諦めていません。いまだ敵味方混戦中と思われます。この粘り強い取り組みが彼の力を向上させ、今後の発展を助けるでしょう。
　【聖杯９】黄色背景で一部が青色。この商人は物質的にまったく満たされています。しかしもっともっと楽しめるのなら楽しみたいと思っているようでもあります。この享楽から何か新しい創造が生まれる可能性もあるでしょう。

　【金貨９】黄色背景。彼女も物質的にまったく恵まれた状況にあるようです。モノに囲まれ満たされすぎて、今のところ彼女には『もっと向上したい』と感じる精神的余裕はないようです。
　【剣９】黒色背景です。ベッドに座って嘆いているこの人物には今のところ前向きに頑張るような余裕はまったくありません。

10のカード

　どのカードの背景にも青色が見られる。

　【棒10】はっきりとした青色背景。重労働に苦しんでいる人物が見られますが、その重労働が価値あるものを生み出し、多くの創造を成し遂げるでしょう。
　【聖杯10】空色の背景。幸せそうな家族の姿があります。今のところお金はどんなにたくさんあっても充分ということはありませんが、みんなが力を合わせて生活をし、価値ある未来を作っていくことでしょう。
　【剣10】黒色背景の奥に青色背景が見えます。今は余裕がありませんが、後には元気と余裕を回復し、教訓を生かして精神的な成長を果たすことでしょう。
　【金貨10】屋内の向こうに青色背景。世代を超えた家族が共に暮らし、家風を継承し、豊かな資産を活かしてより多くの発展と創造を成していくことでしょう。

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　こうして一枚一枚をまとめてみると、青色背景の濃さや色みによってそれぞれ共通の意味があるのだなぁと気づかされました。

　【棒】の５?１０や【聖杯】の２、３、４に見られる、爽やかで濃い青色背景では、活発さや若さが感じられます。そこに描かれている人物は苦しんでいたり退屈していたりするのですが、へこたれない粘り強さや前向きな意欲があります。この美しい青色背景の元では未来志向が生きていて、価値あるものが生まれる素地があります。

　【剣２】や【聖杯８】に見られる、濃いけれども暗い青色においては『逃避』が見られます。条件が悪いわけではないのに、しっかり取り組まないで済ませてしまいます。
　ただこの二つのカードについては、逃避といっても放棄ではなく、解決を未来に持ち越している点で「あきらめ」ではありません。あきらめてしまえば何も生まれませんが、そうではないので可能性が残されています。そういう意味で青色の意味が生きているといって良いと思います。

　【金貨１】【金貨２】【剣５】【聖杯６】【聖杯７】【聖杯１０】などでは背景の青が薄く、空色になっています。
　空色背景では、消耗が多くて生産性に乏しいという特徴があるようです。条件は悪くないのですが、余裕が生まれるとすぐに消費されてしまうので、新しいものを創り上げたり、たくさん生産したり、たくさん貯め込んだりすることが難しいのです。
　【金貨１】【金貨２】【聖杯６】【聖杯10】では、いくらお金や余裕が生まれてもそれらはすぐに使われてしまい、残りません。
　【剣５】【聖杯７】では、元々ある欠乏を埋めることにエネルギーを費やしてしまいます。その欠乏は大きく、不毛な性質があります。

　【聖杯１】【金貨６】【剣６】など、基本的には灰色背景でも青みがかっているものもありました。
　これらのカードに共通するのは、「実利」には乏しいが「精神的利益」がある、という点ではないかと思います。が、このあたりは灰色背景がどのような意味を持つのかを考慮した上で再考したいなぁと思います。

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　このような事細かなテーマについて、たくさんの文章を書くことに、どれだけの利益があるのか…書く方も結構大変ですし、読む方はもっと大変だろうなぁと思うのですが、ここまで読んでいただいた方々には本当にお礼を申し上げます。

　このブログは、わたしがその都度、考えた過程をそのまま書いています。ですからあまり整理されていないですが、ここまで細かいことを書いている人も他にいないでしょうし（いるかも知れませんが）、ナマの人間のナマの思考過程がそっくり残っていること自体に、ちょっぴり意味があるのではないかと自分では思っています。

　次回からは灰色の背景をチェックしていきたいと思います。こうやって書いていくと、ブログのネタが絶対に尽きることはないので便利です、実は（笑）。

　今後とも当ブログをよろしくお願いします。