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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
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 今回は色の考察【黒色】の第15回、(2-2)黒色の部分/腰掛けているものの黒色#2 について考えてみます。

 黒色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。

・第3のセフィラ「ビナー(理解)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・極端さ、甚だしさ、絶対性、神と関連 世俗的でない
・闇、悲しみ、光がない、試練、停滞(が、後に神がやってくる)
・悪魔の支配下にある
・進化に必要な過程


 カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
 『世界シンボル事典』を参考図書として用います。

 分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。タロット作者の意図やカバラの教義に基づいた正しい解釈を目指しているのではなく、個人の自然な感覚と発想に頼って考察してみようとする試みです。ご了承の上、お読み下さい。

*-*-*-*-*-*-*

(2-2)黒色の部分/腰掛けているものの黒色…

金貨キング】【金貨ナイト】

*-*-*-*-*-*-*

 【金貨キング】ではまたがっている馬が漆黒の毛をしています。たいへん黒々としていて、頭の先にだけ緑色の飾りがついています。

 《馬》を『世界シンボル事典』で調べてみました。

 シンボルとしては、牛よりもさらに高次の力強さや活力を体現する。(中略)馬は不気味な獣としてしばしば死者の国と結びつけられ(たとえば馬に乗って空中を疾駆する「幽鬼の軍勢 Wilders Heer」など)、死者に供える生贄ともなったが、後にはその駿足ぶりや跳躍力から太陽のシンボルとなり、アポロンやミトラス神の乗る太陽の戦車、あるいは預言者エリヤの乗る火の戦車など、天翔ける車を引く動物ともなった。(中略)
 初期キリスト教の教父たちは、馬を高慢あるいは好色な存在と見たが、一方で馬は勝利(たとえば殉教者の現世に対する勝利など)の象徴でもあった。
(中略)
 心理的なシンボルとしては、馬は「高貴」で聡明な反面、いったん動揺すると不安におびえ臆病になる点が注目されている。馬と騎手の関係は、比喩的にエス(イド、本能的衝動の源泉)と自我の関係をあらわすとみなされる。(後略)

 ウエイト版タロットでは馬は乗り手の活力や使える力を表すとどこかで読んだか、聞いたかしたことがあるのですが、上記の引用を読むとなるほどと思わされます。
 馬が不気味と言われたり、反面、高貴と言われたり、両義的な意味を持つのは、その驚くべき駿足と跳躍力からでしょう。それを思うと《馬が乗り手の活力や能力を表す》との解釈は妥当と言えそうです。

 【金貨ナイト】の黒い馬は、彼が使える活力や能力が彼の基盤であり、その性質が《黒》の象意と結びついていると解釈できます。

◆極端さ、甚だしさ、絶対性、世俗的でない…

 黒い馬は彼の活力と能力であり、彼の基盤です。彼の活力や能力は極端で世俗的ではない、と考えられます。

 世俗的ではない能力、とは何でしょうか。ちょっと難しいです。
 この漆黒の毛並みをもつ馬は、野太い足でしっかりと大地を踏みしめて立ち止まっています。
 馬と言えば、颯爽と疾風のように駆け抜ける軽やかで力強い生き物のイメージがありますが、この黒い馬は落ち着いてやや大人しそうです。フルスピードで走らせてもそんなに速くはないんじゃないか…とわたしには思えます。

 でもその代わり力がありそうです。落ち着いていて足が太いので、重い荷物を載せたり引っ張ったりするのが得意そうです。それにとても良く言うことを聞きそうに見えます。人の命令を理解して素直に振舞いそうな感じがします。

 そう考えると、この黒い馬は一般的に騎士が乗るようなタイプとは少し違っているのかも知れません。
 騎士の乗る馬っぽくない、という点が、幾分《世俗的でない》と表現できるかなと思います。

◆闇、悲しみ、光がない、試練、停滞(が、後に神がやってくる)…

 馬は、騎士を乗せて軽やかに遠くまで駆けていったり、華々しい勝利の凱旋と共にある存在ですが、この黒い馬はそういう華々しい印象からかけ離れているように見えます。

 馬らしいよろこびや華々しさから遠ざかっていることは、ある意味、闇や停滞、試練と言っていいかも知れません。

◆悪魔の支配下にある…

 この馬が悪魔の支配下にあるのでしょうか?この騎士の活力や基盤が悪魔に侵されているとはどういう状況をいうのでしょうか?

 馬の頭の先には緑の芽吹きを表したような飾りがついています。これは豊かな恵み、豊穣を象徴していると読めそうです。

 生産力、実り、豊穣は、繁殖能力と結びついています。
 乗り手の騎手は、堅実で大人しそうでありながら、実は好色なのかも知れません。
 華々しい活躍や楽しみから遠ざかった地味な生活の中で、生殖と結びついた、肉体的なよろこびしか知らずに生活しているのかも知れません。

◆進化に必要な過程…

 彼はおそらく領主である【金貨キング】の息子でしょう。
 キングは指示し、この【金貨ナイト】は現場で監督し、みずから働きます。今の彼には指揮権はありません。

 しかし楽しみに乏しくて地味なつつましい生活も、いつかある時変化が訪れて、辛抱強く積み重ねられた努力を実らせる機会がやってくることでしょう。多くの恵みをもたらす土地を現場で采配している彼にとって、未来の跳躍は約束されているも同然と言えます。

 いつか彼は実力のあるキングとなっていることでしょう。彼は今その過程にあると言えます。

◆第3のセフィラ「ビナー(理解)」と対応している…

 土地の領主である父の指示を素直に受け入れているのは、その命令が多くの実りを可能にするのだと理解しているからでしょう。

 彼の従順さ、地道さは、より多くを理解するための資質です。知恵や技術の理解と、現実を受容する強さが、彼の基盤だと言えるでしょう。

*-*-*-*-*-*-*

 今回、《馬》のシンボル的意味が両義的であることを、はじめて知りました。馬は「良いいきもの」だと思っていたのですが、不気味なイメージも備わっていたのですね。

 またこの札の中に「悪魔の支配下」とか「極端さ、世俗的でない」という要素を見つけるのには苦労しました。怖そうにも見えないし、悪そうにも見えないし…しかし、そういう地味なものの中にこそ、ほんとうの怖さや悪さが潜んでいることもあるのかも知れません。

 【金貨ナイト】は占いの中でステディな彼氏と読むことが多いです。【聖杯ナイト】はイケメン彼氏でラブラブですが、【金貨ナイト】は落ち着いた付き合いでときめきには乏しいけど安定感とやすらぎがある感じです。

 それは別の側面では、倦怠期とか停滞感に通じるのかも知れません。油断の中にある罠、みたいなイメージも浮かびます。逆に、意識せずに積み重ねられる日々の行為が、大いなる魔法の礎になっていくようなイメージも浮かぶのです。それらは、何か大きな変化が起こった時、はじめて表面化するでしょう。

 まだ何か、この黒い馬について突き詰めきれていない感がありますが、今回はここまでにしておきます。

 次回から(2-3)黒色の部分/二項対立の黒 に入っていきます。
 今後とも当ブログをよろしくお願いします。

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