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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
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 今回は色の考察【黒色】の第16回、(2-3)黒色の部分/二項対立の黒 について考えてみます。

 黒色部分の解釈を暫定的に以下のように定義しておきます。

・第3のセフィラ「ビナー(理解)」と対応している(ウィキペディア・生命の樹の記事より)
・極端さ、甚だしさ、絶対性、神と関連 世俗的でない
・闇、悲しみ、光がない、試練、停滞(が、後に神がやってくる)
・悪魔の支配下にある
・進化に必要な過程


 カードの画像データは、U.S.GAMES SYSTEMS,INC から出版されているライダー版ウエイトタロットです。
 『世界シンボル事典』を参考図書として用います。

 分類やコメントはあくまでもわたしの主観に基づいています。タロット作者の意図やカバラの教義に基づいた正しい解釈を目指しているのではなく、個人の自然な感覚と発想に頼って考察してみようとする試みです。ご了承の上、お読み下さい。

*-*-*-*-*-*-*

(2-3)黒色の部分/二項対立の黒…

【2・女教皇】【7・戦車】

*-*-*-*-*-*-*

 【2・女教皇】女教皇の右手側(向かって左側)にある柱が黒色です。ここに描かれている柱はソロモン神殿の入口に置かれていた《ヤキンとボアズ》の柱だと言われています。黒い方の柱は《ボアズ》と思われます。


 今回に関しては、いつものように単純に色の象意を当てはめて解釈していくのでは不適当と思われます。空とか椅子とか馬とかとは違って、この札に描かれている黒い柱は《ボアズの柱》という固有のものだからです。

 《ソロモン神殿》や《ヤキンとボアズ》に関してどこまで調べるか…これは途方もない話で参考資料を探していけばおそらくキリがないでしょう。今回はネット上で興味を引かれたウェブページのご紹介と、いつものように『世界シンボル事典』で調べた《柱-円柱》項目から引用してみます。

『世界シンボル事典』《柱-円柱》項目
 ソロモン神殿にあった青銅の双柱は「ヤキン」(神は強固にする、の意)と「ボアズ」(神のうちに力が宿る、の意)と呼ばれ、高さが9メートルほどあったという。<中略>
 ヤキンとボアズはフリーメーソンのシンボルとしてもよく知られており、「人間性」(という神殿)を支える柱である「正義」と「博愛」を象徴するとされる。この2本の柱は、錬金術での重要な原質である「硫黄と水銀」などと同様に、秘教的な思想における二元原理をあらわすと見ることもできよう。<後略>

 《人間性という神殿》とは素敵な表現だと思います。ここで黒いボアズの柱は「博愛」と対応していることとなります。《博愛》って《黒》なんでしょうか。

◆極端さ、甚だしさ、絶対性、世俗的でない…一見、ピンと来ません。極端さ、甚だしさ、神聖さという点では黒も白も同様に当てはまるように思います。白あっての黒、黒あっての白、と考えるとそれで良いのかも知れませんね。

◆闇、悲しみ、光がない、試練、停滞(が、後に神がやってくる)…《博愛》をネットで検索すると、博愛主義とは「人種・国家・階級・宗教などの違いを越えて、人類は広く愛し合うべきであるとする主義。」とありました。
 Wikipediaでは《友愛》と《フィランソロピー》という2つの項目に振り分けられます。《フィランソロピー》とは慈善活動的なこと、すなわち「広く人類全般に対する愛にもとづいて、よいものを広めたり、クオリティオブライフ(QOL)を高めたりすることを目的とした、利他的・奉仕的な活動全般を指す。」とありました。

 愛とは、自分にとって近しく特別なものを好み、親しむ行為となって表れると思いますが、博愛となると、自分から遠い、愛しにくいものをも愛す行為と言えそうです。博愛って結構無理のある状態のように思えてきます。

 博愛が必要になる状態とは、そこに色んな意味で闇とか悲しみが付随するのかも知れません。愛のないところに愛を送る、愛を捧げる…光のないところに光を当てる…これが博愛の精神に通じるのではないでしょうか。

◆悪魔の支配下にある…これも「光がない」「愛がない」「神がいない」に通じそうです。

◆進化に必要な過程…「光がない」ところに光を齎す行為は明らかに人間性の進化と結びついています。ヤキンとボアズをシンボルに持つフリーメイソンは《友愛団体》だそうです。博愛とは、愛の進化形とも考えられるでしょう。もちろん、最上位の進化に至る途中、です。

◆第3のセフィラ「ビナー(理解)」と対応している…博愛=本来愛せないものまでも愛する…これこそ《理解》の成せる最高の「わざ」。理解こそ博愛の真髄だと言えるでしょう。

 …ということで、《博愛》が《黒》と結びつくのはとても自然なことと考えられます。

*-*-*-*-*-*-*

 ネットにて、興味深いページを見つけましたので、リンクにてご紹介したいと思います。

●古代エジプト王朝の2本の柱(EJ第1850号)

 googleで《ヤキンとボアズ》で検索するとトップにヒットしてきたページです。これがとても興味深い…

 要約すると《ヤキンとボアズ》がソロモン宮殿の入り口に置かれたよりもっと以前、なんとピラミッドが建造される前…紀元前2500年以上も前…に、上エジプトと下エジプトに1本ずつ建てられていた、という壮大なお話です。
 一方、わたしたちの良く知っている「ソロモン王のエルサレム神殿」の方は紀元前10世紀に建造されたとありますから、せいぜい紀元前1000年から901年の間ということになります。この時代の差はすごい。

 ぜひリンク先のページを見ていただきたいのですが…ページ下の方に上エジプト・下エジプトそれぞれのどのへんに柱が建っていたかを示した地図の画像があります。ほんと壮大なお話ですよ。ロマンがあります。
 画像の出典元のサイトがリンク切れなのが残念。

*-*-*-*-*-*-*

 もうひとつ、面白いなぁと思ったことを。

 『世界シンボル事典』《柱-円柱》項目にこのような一節がありました。
 柱はまた木と同じ意味合いのシンボルとされることもあり、精神分析では基本的に男根的特徴をあらわすシンボルと考えられている。


これを踏まえて、西洋魔術に興味のある方ならご存知であろう有名なサイト、神殿への小径 The Pathway to The Holy Templeの中のII高等女司祭 The High Priestessのページに以下のような記述があります。
エジプト様式の柱の柱頭は開いた花ではなく、蕾のままの蓮である。蕾は未発達、未顕現なエネルギー、あるいは処女性の象徴であり、「高等女司祭」の力の受容と保持を示唆していると同時に彼女が示す潜在意識下の未発現の諸力を象徴している。

 二柱の間にあるヴェールには男性性を表す椰子と女性性を表す石榴が描かれ、ポジティヴとネガティヴ、宇宙に充満する二極のエネルギーの結合を表す。エジプト様式の柱の柱頭は開いた花ではなく、蕾のままの蓮である。蕾は未発達、未顕現なエネルギー、あるいは処女性の象徴であり、「高等女司祭」の力の受容と保持を示唆していると同時に彼女が示す潜在意識下の未発現の諸力を象徴している。

 二柱の間にあるヴェールには男性性を表す椰子と女性性を表す石榴が描かれ、ポジティヴとネガティヴ、宇宙に充満する二極のエネルギーの結合を表す。


 上記も男性性・女性性に関する記述です。
 さらに、日本の鳥居に関するページ、『全ては古事記の中に』の5-(26).鳥居の密儀のページに、ヤキンとボアズに関する言及が。
 彼はまた、柘榴を造った。柱の頂にある柱頭を覆うために、一方の格子模様の周りに二列、他の柱頭にも同じようにした。前廊の柱の頂にある柱頭は百合の花の形をしており、四アンマの高さであった。
 二本の柱の上にある柱頭には、格子模様の側面の膨らみの周りに二百個の柘榴が両方の柱頭に列をなして巻いていた。この柱を神殿の前廊の前に立てた。右の柱を立てて、これをヤキンと名付け、左の柱を立てて、これをボアズと名付けた。柱の頂に百合の花の形があり、こうして柱の制作は終わった。(列王記・上 7章15-22節)

 下の画像は『世界シンボル事典』の中のヤキンとボアズの参考図像です。上記の記述と対応しているところが多くあります。
J&B

 この柱にこれほど多くの性的な象意が込められているのが面白いと思いました。人間性を支える柱、正義と博愛の中に、清純の象徴である百合、愛と結婚、多産、時には女性器を象徴する石榴、男性性をあらわす椰子、蕾のままの蓮、同時に柱は男根を彷彿とさせる。。札のアイテムから読み取れる情報量が多くて、意味ありげですごく面白かったです。

*-*-*-*-*-*-*

 本日は大幅に時間が押して月曜日になってしまいました。ネットであれこれのページを見ていると時間がすぐになくなってしまいます。面白いページをいっぱい見つけました。良い収穫です。

 次回は(2-3)黒色の部分/二項対立の黒【7・戦車】の札です。
 今後とも当ブログをよろしくお願いします。
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『占いと癒しのお店*アテナ』占い師のサワツ純子です。

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