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大阪の占い師 サワツ純子 のタロットブログです。たまに理屈っぽい日常のああだこうだも入っています。
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今回は、4枚の“7”のカードです。

*-*-*-*-*-*-*
ワンドカップ
ソードペンタクル


7】困難な状況が出現。負けるわけには行かないので頑張る。
聖杯7】夢と妄想。迷い。あてのない理想と希望。
7】不都合な現状を穏便に解決するため、ごまかしや婉曲的方法をも考慮する。(うまく行くならば、戦うよりは良い方法/剣の力が積極的に使われる)
金貨7】成果はあるが不満足、可もなく不可もない、決め手に欠ける

*-*-*-*-*-*-*

 6は『美しいバランス』のカードでした。
 7ではそのバランスが崩れ美しさが損なわれます。

 6が最も美しい、好ましいバランスならば、そこにとどまっていれば良いのではないでしょうか?なぜわざわざ最も美しいレベルを超える必要があるのでしょう?

 人生は美しく綺麗な側面ばかりではありません。困難に直面した時には、人は美しい微笑みばかり見せてはいられなくなります。歯を食いしばって顔を歪ませたり、泥にまみれ人にそしられながら頑張らなければならない時だってあります。

 7は色んな意味で『頑張る』カードです。7には調和の取れた美しさはないかも知れません。しかし人がさらなる高みを目指して、あるいは困難を克服しようとして頑張る、人間らしい側面が見られます。

*-*-*-*-*-*-*

 それでは以下、各スートについて解釈してみます。

ワンド棒7
 ここではたくさんの敵に攻められながら一人でそれに対抗している男性の姿が描かれています。男性の立つ足場の下から突き出されている棒は恐らく敵の勢力なのでしょう。しかしその姿は描かれていません。
 この男性は高台に立っていますから地の利はありますが、大勢でやって来た敵の方が勢いは勝っています。彼はどうしても『守りの戦い』になってしまいます。味方の軍勢はどこにいるのでしょう?彼一人が矢面に立っています。果たして彼は最後まで頑張りきれるでしょうか。

 のエレメントは生命・活力を表わします。【7】のような戦いの場面は生命・活力が大いに発揮されると同時に、それが傷つけられる危険もあります。勝敗の瀬戸際で誰もが自分のを守ろうとしています。勝った者は生き残り負けたほうは傷つきますが、棒・火・生命にとってはそれも自然の摂理として受け入れざるを得ないでしょう…。


カップ聖杯7
 ここではたくさんの杯を前にした男性の影が描かれています。それぞれの杯にはさまざまなものが入っています。宝石や、異性や、立派なお城、月桂冠は輝かしい勝利を表わしているのでしょう。蛇は知恵を、トカゲは邪悪な欲望を表わしているのでしょうか。
 中央に、赤紫色の光を放つベールをかぶった謎の人物が両手を広げています。これはいったい誰でしょう?誰か特別な素晴らしい人でしょうか?それとも彼が思い描いている彼自身でしょうか?黒い影の彼は、空中に浮かんだ夥しい雲から湧き出た杯の幻想で胸がいっぱいになっているようです。めくるめく幻想や夢が彼に希望を抱かせ、と同時に人生に対する迷いも抱かせているようです。

 のエレメントは感情、心、楽しみ、快楽などを表わします。最もうつくしいバランスの『6』を超えた【聖杯7】では、感情過多、楽しみすぎを連想させます。この黒い影の人物はおそらく現状に充分満足していないか、あるいは欲張って楽しみや満足を求め過ぎているのでしょう。夢や希望をことさらに思い描いて自分を楽しませたり、妄想の世界で満足を得たりしているようです。
 感情は波立ち昂ぶることを喜びます。しかし【聖杯7】ではそれが少々行き過ぎるようです。本人は美しく心地よい夢を思う存分楽しんで満足でしょうが、そんな彼を傍で見ている他人は白けてしまうかも知れませんね。


ソード剣7
 ここでは5本の剣を抱え、抜き足差し足で歩いている男が描かれています。2本の剣は地面に突き刺さったままですが、男はこれらを残して立ち去るのでしょうか?顔は右を見ていますが進行方向は左です。どことなく後ろめたいことをしている場面のような印象を受けます。彼は何故こんな風にコソコソしているのでしょうか。彼は一体本心ではどうしたいのでしょう?

 思考が美しく働いた【6】が戦いからの撤退を表わすならば【7】は何を表わすのでしょう。彼もまた逃げているようですが、ここには“いさぎよさ”が足りないような気がします。残されている2本の剣は真っ直ぐに屹立していますが、男によって持ち去られる5本の剣はぎこちなく抱えられ傾いでいます。“いさぎよい”行動をとることが出来なくてやむなく誤魔化しが行われているのかも知れませんし、あるいは欲望を抑えることができなくて裏切り行為に及んでしまうのかも知れません。
 思考は本来、困難を何とか工夫して『上手くやる』ために使われることを好むことでしょう。ただしここでは剣・思考の持ち味のひとつである『正しさ』が欠けてしまっています。でも、正しさを通して血みどろの戦いを繰り広げるよりは、少々の誤魔化しがあっても『上手くやる』方が良いかも知れません。そうせざるを得ないのか、あえて誤魔化しを行うのかの差は大きいでしょうが…。


ペンタクル金貨7
 ここでは畑の実りを前に憂鬱そうな顔の男性が描かれています。彼の畑は豊かに実っています。こんなにたくさん実りがあるのに浮かない顔をしているのはなぜなのでしょう?彼はこの豊かな実りを喜ぶべきではないのでしょうか?
 ひょっとしたら彼はもっとたくさんの収穫を期待していたのかも知れません。そのために、いつもよりずいぶん余計に頑張ったのかも知れません。なのに結果がそれほどでもなかったのでがっかりしたのでしょう。ある種のものごとは、たくさん労力を注げば注ぐほど成果を上げるわけではありません。

 金貨は最小限の量で最大限の成果を生むことを喜びます。【金貨7】のここではたくさんの労力が通常の結果しか生んでいないようです。たくさん労力を注ぐよりももっと別のやり方が必要になっているのかも知れませんが、この男はそれを考えているのかも知れません。
 彼はまだ決め手を得ていません。しかし実りは充分です。彼はここで満足することを選ぶのか、それとももっと多くの収穫を得るために試行錯誤を繰り返すのでしょうか。今すこし多くの消耗が必要となりそうです。

*-*-*-*-*-*-*

 『7』のカードはどれも『あちらとこちらの瀬戸際にいる』ような感じがします。
 では優勢と劣勢の、聖杯では満足と不満足の、では公正と誤魔化しの、金貨では成功と不成功の狭間でもがいているように感じられます。

 『7』のカードは解釈する人の性質がとてもはっきりと表れるカードではないでしょうか。正と見るか、邪と見るか。わたし個人は『7』のカードは正でも邪でもあり、満足でも不満足でもあり、その選択はケースバイケースだと思います。

 たとえば【7】はその最たるもののような気がします。このカードを嫌う人は少なくないでしょう。わたしもはじめはこのカードを『誤魔化しや罠のカード』として嫌っていました。しかし、果たして単純にそう言いきれるものでしょうか?

 日常生活では、正しいものが必ず勝つとは言えない現状に嫌でもぶつかります。ルールや法律も常に万能で適正とは言えません。
 通常はの強い者が弱いものに勝ちます。法律やルール()は基本的に弱者の権利を確保するためにあります。しかし強者がを使ってさらに弱者から奪い取る例は山ほどありますし、弱者がを振りかざして愚かな意見を通そうとするケースもあります。つまるところ社会は多かれ少なかれ元々混沌とした場所なのです。

 そのような場所で『上手く生きていく』ためには、時には誤魔化しも必要です。あちらにもこちらにも良い顔をすることは果たして悪でしょうか?自分の願いをかなえるために強硬で恐い人をうまく欺いたり逃げたりすることは絶対的に悪いことと言えるでしょうか?誰かの気分を害さないために苦しい嘘をついたことがない人が果たしているでしょうか?

 【7】の中には、困った事態をなんとか上手く切り抜けるための知恵から、悪徳商法のような曲芸めいた悪知恵、苦しい気持ちを自分でごまかす欺瞞までさまざまな思考の働きが含まれていると思います。

 『7』は『5』のように、不均衡や不安定の意味合いが強いカードです。不均衡や不安定はたいてい誰にとっても好ましいものではありませんが、ごく日常的なものですし、完全に避けられるものでもありません。
 人は誰しも『6』を理想としながら、『5』から『7』の間をふらふらとしているものです。やじろべえのように、右にゆれたり左にゆれたりしながらバランスをとっているのが人間です。『5』や『7』に日常的に触れているのに、それを一方的に嫌ったり否定したりするのはおかしなことのような気がします。

 劣勢に立ちかけている人をみじめだと笑ったり、夢を描いて生きる力にしようとしている人をバカにしたり、人間関係の板ばさみになっている人の気持ちに無理解だったり、長年努力しても芽が出ない人をさげすんだりすることはしたくないものだと思います。

*-*-*-*-*-*-*

 例によって図形のことを考えてみたいと思いますが『7』はとても難しいです。正七角形や七芒星を書こうとすると、360゜÷7で割り切れません。そのため七芒星には「不可能を可能にする」という意味合いがあるそうです。
Dragon's Lairさんというサイトの魔法の図形というページから引用・参照させていただきました。Dragon's Lairさん、ありがとうございます)

 そもそも最も美しいバランス『6』からあえて離れてその先に行くのはなぜでしょう。それは人が常に「もっと良くなりたい」と望む性質があるからではないでしょうか。

 『7』の次には『8』があります。その先に『9』があり、最終段階として『10』があります。『10』まで行くことが果たして良いことなのか、正しいことなのか、それは分かりません。しかし、分からなくても人は先を目指してゆく性があるのでしょう。

 人は好ましい『6』を離れて先に行こうとします。不可能と思えることを可能にしようとするのですから、そこにはリスクが伴うし、頭打ちもあって当然です。

 それでも先に行こうとする衝動は、まさに人間的と言って良いでしょう。『6』の美しいバランスの領域を超え、もっと先・もっと上を目指そうとした時から人は新しい過酷さや混沌、謎に直面することになるでしょう。

 『7』の不均衡、不安定は『挑戦』あってのものです。そのために『頑張る』数字が『7』だと解釈出来ます。
 裏を返せば無理に頑張らず、美しいバランス『6』にとどまることも勇気だと思います。さて、みなさんは前に進むのでしょうか、『6』にとどまるのでしょうか。
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